研究課題
滑膜間葉系幹細胞を用いた再生医療をより多くのヒトに提供するために、同種異系(アロ)滑膜間葉系幹細胞の安全性を検証し、臨床応用の可能性を検討することを目的としている。平成28年度は、前年度に引き続き、関節液の免疫細胞の解析、関節液の免疫細胞によるアロ抗原提示の検証を実施した。はじめに、膝前十字靱帯再建術をうける患者の術前および術後関節液中のCD11c/ HLA-DR陽性細胞をCD141とCD1cで展開した。その中で、CD1c+ 樹状細胞、CD141+ 樹状細胞、CD141low/ CD11b+/ CD14+ マクロファージに着目し、その存在比や活性化状態を、術前と術後3(4)日で比較したところ、CD1c+ 樹状細胞の細胞数は、術前が有意に高く、CD141+ 樹状細胞、CD141low/ CD11b+/ CD14+ マクロファージの細胞数は、術後が有意に高かった。次いで、関節液の免疫細胞によるアロ抗原提示の検証では、CD141+樹状細胞には死細胞を取り込みT細胞へ抗原提示する機能があることから、関節液から分離し、VPD450でラベルした単核球(抗原提示細胞およびT細胞が含まれる)とアロ滑膜幹細胞の死骸を混合培養する系を構築した。具体的には、あらかじめ、アロ滑膜幹細胞の死骸を一晩混合培養し、さらに6日間培養することよって、CD4陽性細胞とCD8+陽性細胞の増殖が検出された。しかし、単核球における主要なCLEC9A陽性細胞の画分は術前後で異なっていた。さらに、共培養7日後のGranzyme B産生量は有意に低く、IL-6産生量は有意に高いことを確認した。一方、患者由来関節液における炎症誘発性サイトカインIL-6を術前、術後3(4)日、術後14日で比較すると、術後3(4)日で有意に高く、術後14日は有意に低くなっていた。これらの結果は、樹状細胞の死細胞貪食によるT細胞活性化ならびに生細胞による抑制のメカニズム解明に役立つと考えられた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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