研究課題/領域番号 |
15H04954
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長谷川 幸治 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄付講座教授 (50208500)
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研究分担者 |
今釜 史郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (40467288)
酒井 忠博 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (60378198)
八田 武志 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (80030469)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 変形性膝関節症 / 変形性脊椎症 / 骨粗鬆症 / ロコモーティブ症候群 / 一般住民検診 / 運動機能評価 / QOL / 運動向上プログラム |
研究実績の概要 |
19年間継続している研究である。 横断的研究として毎年500-600名の検診結果からロコモティブ症候群・サルコペニア、重心動揺にかかわる運動器由来の危険因子の同定ができた。変形性膝関節症(膝OA)の病期と身体所見・機能・QOLについて検討した。膝OAは病期の初期から疼痛・圧痛や関節水腫、膝伸展障害、歩行障害が出現した。病気が進行すると膝屈曲制限や下肢運動機能低下、立位不安定性と身体的QOL低下が出現する。しかし重度OAでも精神的QOLは低下しなかった. サルコペニア肥満の有病率は男性12.5%、女性15.1%であった。サルコペニア肥満群では最大歩行速度、背筋力、握力、3mTUG、最大歩幅、ツーステップテストで有意な低下を認めた. 2015年の15年間の縦断研究として重要な発見は、15年前に膝関節症(OA)や糖尿病(DM)と診断された場合OAの死亡のCox hazard ratioは1.972 (95%CI:1.356-2.867)であり、DMは1.965(95%CI:1.146-3.368)となった. つまりOAはDMとほぼ同等の死亡の危険因子であった。更に危険因子であったのは喫煙習慣1.706 (95%CI:1.141-2.552)、骨粗鬆症1.614(95%CI:1.126-2.313)であり。この4つの因子は介入が可能であると考えた。さらに経年的に筋量は約2%減少する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長期縦断研究では15年前に変形性膝関節症や骨粗鬆症があると生命予後が糖尿病と同程度に悪化することが分かった。 サルコペニアの評価は2年分えられた。横断研究としては十分であり、今後縦断研究を行う。 運動介入プログラムはパイロットとして行っているが、満足度は高いが有意な向上を得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
認知機能と運動器疾患の横断的縦断的研究をおこなう。 運動機能向上のプログラムの作成実施をおこなう。 2015年から2016年は転倒と関連する固有感覚受容についても結果のまとめを行う予定である。転倒手帳を住民に配布して記録している。転倒と栄養(血清カロテノイド、血清アルブミン)、遺伝子SNP、重心動揺、下肢筋力、変形性膝関節症、骨粗鬆症、生活習慣(喫煙、飲酒、運動)の関連を検討する予定である。 運動機能の維持向上はすでに運動介入方法の検討は2004年、2012年に行った。介入期間が3カ月と短く、介入方法が洗練されていなかったために運動介入の有用性は見いだせなかった。この結果から2016年には6か月間の固有感覚受容を向上できる運動介入プログラムと認知症に対する運動介入プログラムも同時に開発している。
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