研究課題
変形性関節症は、加齢に伴い関節軟骨が変性し疼痛を伴う疾患である。近年の研究の結果から、関節周囲の骨の脆弱性及び微小骨折の発生が関節軟骨変性の進行に寄与する可能性が指摘されはじめている。本研究の目的は、動物モデルを用いて軟骨下骨の脆弱性が関節軟骨変性に与える影響、および骨形成薬の関節軟骨変性抑制効果について検討することである。変形性膝関節症 (KOA) における軟骨下骨(SCB)の病態生理学的役割について調べる目的で、ラット脛骨SCBにおける部分損傷(SCBI; subchondral bone injury)がKOAの発症、もしくは進行に与える影響について調べた。SCBI誘導後3および6週時点で 膝関節軟骨の病理組織像を観察したが、軟骨変性の発症は確認されなかった。一方、ラットの膝内側側副靭帯切除および膝内側半月板切離し膝に不安定性を生じさせKOAを誘発する手術に加えてSCBI手術を行ったところ、軟骨変性スコアは SCB温存群に比較して、術後3週時点で悪化傾向、術後6週時点で統計学的有意に高かった。通常の荷重下ではSCBIは軟骨病変発症に直接影響しないが, 軟骨に強い負荷がかかる状態では、KOAを悪化させる要因になると考えられる。また、膝に不安定性を生じさせKOAを誘発する手術に加えてSCBI手術を行った後に、骨形成促進薬であるテリパラチドを投与する群を作成した。術後6週間テリパラチドを皮下投与した後にラットの膝を回収し、軟骨変性の状態を評価した。テリパラチド投与群では、生食投与群に比較して、統計学的に有意に軟骨変性スコアの改善を認めた。これにより、骨形成薬を投与し軟骨下骨の脆弱性の治療を行う事により、軟骨変性の進行予防を行えることが示せた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Orthopaedic Research
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10.1002/jor.23840