研究課題
本年度は、昨年度に引き続き、術後遷延性疼痛モデルを作成し、そのタイムコースに応じてサイトカインがどのように変動するかの分析を行った。そのために、ワイルドタイプの動物と、各種KOマウスを使用した。分析したのは、サイトカインとケモカイン約30種であり、疼痛行動の減弱しているKOマウスにおける発現パターンと、ワイルドタイプの発現パターンに顕著な違いを認めた。術後遷延性疼痛モデルの脳内の活動がどのような変化をきたしているかを分析するために、術後遷延性疼痛モデルの術後2日目(急性期)、4週後(慢性期)についてマンガン造影MRIの撮像を行った。その結果、各部位の活動性について有意な差を認めなかったが、その活動パターンについては、2日目、4週間後については手術前に比べて顕著な差を認めた。さらに、鎮痛薬の薬効を見るための実験を行った。鎮痛薬としてはブプレノルフィン、メロキシカム、ガバペンチンを用いた。ブプレノルフィンは、4週後にあたる個体に対し、撮像2日前から12時間おきに4回、0.1㎎/㎏の投与を行った。メロキシカムは、2日後と4週後にあたる個体に対し、撮像2日前から24時間おきに2回、5mg/kgの投与を行った。ガバペンチンは、4週後にあたる個体に対し、撮像2日前から12時間おきに4回、100mg/kgと10mg/kgを異なるグループに投与した。疼痛行動の評価を行ったところ、機械刺激に対する疼痛閾値は投与個体と非投与個体の間で有意な差を認めた。疼痛行動評価を行った個体以外を用いて、マンガン造影MRIを撮像したところ、ブプレノルフィン投与個体の脳内活動パターンは手術前の脳内活動パターンに近い傾向を呈した。ガバペンチンの用量の違う2つのグループでも異なる傾向を示した。これらの結果については、明らかに違いを認めている、その定量化を検討していく必要がある。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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毒性質問箱21号
巻: 21 ページ: 印刷中
日本疼痛学会誌
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