研究課題/領域番号 |
15H04976
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
岡田 淳志 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (70444966)
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研究分担者 |
田口 和己 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (00595184)
郡 健二郎 名古屋市立大学, その他部局等, 学長 (30122047)
安藤 亮介 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30381867)
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (40264733)
安井 孝周 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40326153)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 尿路結石 / オステオポンチン / メタボリックシンドローム / マクロファージ / 脂肪細胞 / ベージュ細胞 |
研究実績の概要 |
本研究は、メタボリックシンドローム(MetS)による尿路結石形成が促進する機序の主体が「腎尿細管細胞・脂肪細胞・マクロファージとの共存環境におけるオステオポンチン(OPN)発現の亢進」であると位置付け、動脈硬化も標的とした新たな結石予防因子として抗OPN 抗体を用いることが目的であり、共培養システム、動物モデルを用いて以下の3 つの研究を行うものである。 1.脂肪細胞・Mφ・尿細管細胞の共培養系を用いたMetS 環境での新規結石促進因子の同定:本年度は、Mφのクラスタリング解析とマルチプレックス解析によるパラクライン因子同定を行う予定であったが、脂肪細胞に関わる新知見として、UCP-1発現を有するベージュ細胞の存在が明らかとなり、まずは3T3L-1脂肪細胞の分化モデルにベージュ細胞分化因子であるCLを投与することによって、ベージュ細胞モデルの確立を行った。 2.MetS モデルマウスを用いたゲノムワイド解析による結石形成責任遺伝子OPN の機能分析:1.に順じ、新たな知見としてベージュ細胞活性を促進することによる尿路結石形成研究を行った。具体的には、結石モデルマウスに予め1週間PBS、CL0.1、CL1.0を投与し、結石形成モデルを作らせた、その結果、CL投与群において脂肪細胞の脂肪滴が細径化したベージュ細胞が分化し、PBS投与群と比較して腎結石形成が有意に少なくなった。 3.抗OPN 抗体によるMetS 環境での尿路結石予防効果の解析と分子標的治療の開発:MetSモデルマウス(ob/ob)に対し、予定通り抗活性型OPN抗体を投与した。結果として尿路結石の形成は一部の投与濃度で抑制された。今後細胞培養モデルを用いた研究を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、Mφのクラスタリング解析とマルチプレックス解析によるパラクライン因子同定を行う予定であったが、脂肪細胞に関わる新知見として、UCP-1発現を有するベージュ細胞の存在が明らかとなり、まずは3T3L-1脂肪細胞の分化モデルにベージュ細胞分化因子であるCLを投与することによって、ベージュ細胞モデルの確立を行った。 またベージュ細胞促進因子CL投与を行うことによる腎結石形成予防効果が認められたため、本来の白色脂肪細胞研究と併行してベージュ細胞研究も行ったため、発現解析が予定通りには行う事ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
1.脂肪細胞・Mφ・尿細管細胞の共培養系を用いたMetS 環境での新規結石促進因子の同定:脂肪細胞の特性として、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞に着眼してきたが、近年白色脂肪細胞と同じ中胚葉由来のベージュ細胞が着目されるようになった。このため、MetS環境をさらに詳細に検討するため、白色脂肪細胞(3T3-L1)の分化過程で、ベージュ細胞を誘導するためにβ3刺激薬を用いる研究を行う。具体的にはControl群(M-1単独培養)、白色脂肪細胞群(M-1+3T3L1共培養)、ベージュ細胞群(M-1+3T3L1共培養にミラベグロン(β刺激薬)を添加)を準備する。 2.MetS モデルマウスを用いたゲノムワイド解析による結石形成責任遺伝子OPN の機能分析:1.と同様、研究の概念にベージュ細胞の存在を取り入れて検討する。 wild typeとob/ob(肥満モデルマウス)に対し、グリオキシル酸(GOX)50㎎/㎏の腹腔内投与に加えて、生理食塩水0.1㎎/㎏またはミラベクロン(β3刺激薬)0.1㎎/㎏を皮下投与する(各群n=6)。 3.抗OPN 抗体によるMetS 環境での尿路結石予防効果の解析と分子標的治療の開発:ob/obの繁殖が十分に整ったため、抗OPN抗体による結石形成抑制実験を実施する。
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