研究分担者 |
菊地 栄次 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (10286552)
三上 修治 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20338180)
小坂 威雄 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30445407)
篠島 利明 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60306777)
水野 隆一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60383824)
浅沼 宏 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (70245570)
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研究実績の概要 |
2016年に免疫チェックポイント阻害薬のうちPD-1抗体であるニボルマブの腎細胞癌に対する適応が承認された。PD-1抗体のポジショニングはTKI治療に抵抗性のセカンドライン以降である。我々はTKI治療後の腎細胞癌組織を検索したところ、がんおよびリンパ球のPDL-1の発現とリンパ球のPD-1の発現が顕著に増強されていることを発見した。 PD-1抗体であるニボルマブとCTLA-4抗体であるイピリムマブとの併用がファーストラインの治療薬としてsunitinibよりも有効であることが報告された。しかし、これはIMDCリスク分類においてintermediateとpoorリスク群にのみ観察され、favorable群においてはむしろsunitinibが有効であった。日常の臨床での適応を今後考えるにあたって、ここで問題なのはIMDCリスク分類である。Intermediate群が全体の50%以上を占め、不均一性、つまり予後がばらつく。ファーストラインの治療を始めた際の反応性によりIntermediate群の不均一性を解消できることを示した(論文:Mizuno R et al. Jpn J Clin Oncol, 47(12),1170-1174, 2017)。 また、sunitinibの効果にMDSC (myeloid derived suppressor cell) がバイオマーカーであることを示した(論文:Mizuno R et al. Cancer Sci,108(9),1858-1863,2017)。これは分子標的薬治療の予後因子が自然免疫に関わる単球由来の細胞の数であることを明らかにしたと言える。血管新生が腎細胞癌の発癌に強く関連するが、難治性のフェノタイプは炎症に関連することを示した画期的な研究と評価される。
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