研究課題/領域番号 |
15H04981
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
吉田 好雄 福井大学, 医学部, 教授 (60220688)
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研究分担者 |
清野 泰 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50305603)
岡沢 秀彦 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50360813)
水谷 哲也 福井大学, 医学部, 准教授 (90322734)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 癌 / 転移 / 子宮肉腫 |
研究実績の概要 |
子宮肉腫は、子宮体部悪性腫瘍の数%を占める稀な疾患ではあるが、再発・転移が多く極めて予後不良である。子宮肉腫は①稀少疾患であるため有効な臨床研究が実施されていない、②転移能を保持した動物実験モデルがないことから、子宮肉腫の転移メカニズムは不明な点が多い。本年度の研究の目的は、肺転移性子宮肉腫の同所移植モデルを開発し、転移メカニズムの解明、特にその分子メカニズムの解明を研究の第一段階とした。GFP遺伝子を導入したヒト子宮肉腫由来MES-SA細胞株を樹立し、KSNヌードマウスの子宮頸部へ同所移植し腫瘍を形成させた。約6週間後、腫瘍を摘出した後細片化し、異なるマウスに同所移植した。その際、肺への転移数別にグループ分けし移植を繰り返すことで、高転移株と低転移株の樹立を試みた。また摘出した原発巣はDNAマイクロアレイ解析に供した。さらに担ガンマウスをFDG-PET撮像実験に供し、FDG集積と肺転移との相関関係を検討した。また、マイクロアレイで解析した遺伝子の関連タンパクの 実際の子宮肉腫患者血清の検体を用いて 発現状況を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子宮肉腫は、子宮体部悪性腫瘍の数%を占める稀な疾患ではあるが、再発・転移が多く極めて予後不良である。子宮肉腫は①稀少疾患であるため有効な臨床研究が実施されていない、②転移能を保持した動物実験モデルがないことから、子宮肉腫の転移メカニズムは不明な点が多い。本年度の研究の目的は、肺転移性子宮肉腫の同所移植モデルを開発し、転移メカニズムの解明、特にその分子メカニズムの解明を研究の第一段階とした。GFP遺伝子を導入したヒト子宮肉腫由来MES-SA細胞株を樹立し、KSNヌードマウスの子宮頸部へ同所移植し腫瘍を形成させた。約6週間後、腫瘍を摘出した後細片化し、異なるマウスに同所移植した。その際、肺への転移数別にグループ分けし移植を繰り返すことで、高転移株と低転移株の樹立を試みた。また摘出した原発巣はDNAマイクロアレイ解析に供した。さらに担ガンマウスをFDG-PET撮像実験に供し、FDG集積と肺転移との相関関係を検討した。また、マイクロアレイで解析した遺伝子の関連タンパクの実際の子宮肉腫患者血清の検体を用いて発現状況を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
A)臨床検体を用いる実験系を作成し、より臨床病態を反映した転移動物実験系を確立する。 B)動物実験モデルを用いた子宮肉腫の発生・転移の機序を分子生物学的に解明する。樹立したモデルマウスの原発腫瘍、転移巣および正常組織の遺伝子プロファイリングをマイクロアレイにより比較し、発現レベルに顕著な差を有する遺伝子を同定する。 蛍光イメージング法やPETイメージング法により、原発巣を同定し、さらに転移巣を同定する(「場」情報)。それらが、どのような時間経過で発現するかをモニタリングする(「時間」情報)。転移前・転移初期・転移進行期の時間情報を元に、原発巣だけではなく、転移標的臓器(肺)の組織・腫瘍細胞さらに周囲間質細胞を分離・精製して遺伝子プロファイリングを行う。特に、腫瘍―腫瘍周囲間質の変化を検討する。その時間・場所の変化の中で、様々な分子間での相互作用、解離-結合-変化の全体の動的な機能を検討する。 C)そして、B)で同定された、転移の早期発見可能な遺伝子・蛋白質をターゲットとした新たな分子イメージングトレーサーの開発の研究基盤を確立する。 D)さらに、C)で同定された転移の早期発見可能な遺伝子・蛋白質をターゲットとした新たな腫瘍マーカーの作成を行い、臨床検体で検討する。
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