研究課題/領域番号 |
15H04988
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
兵頭 政光 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00181123)
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研究分担者 |
奥谷 文乃 高知大学, 教育研究部医療学系看護学部門, 教授 (10194490)
弘瀬 かほり 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (20527709)
小森 正博 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (30565742)
中原 潔 高知工科大学, 情報学群, 教授 (50372363)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | functional MRI / 嚥下機能検査 / 舌骨上筋群 / 神経筋電気刺激治療 / 筋電図 / 嚥下リハビリテーション |
研究実績の概要 |
本研究では健常者および嚥下障害患者の嚥下に関わる脳活動部位と様式をfunctional MRI(fMRI)により解析する。また、それが嚥下障害治療後にどのように変化するかを明らかにすることも目指している。本年度までの研究により、健常者の嚥下時の脳活動様式のfMRI検査実施および解析についてのプロトコルはほぼ確立できた。一方、嚥下障害患者を対象とした検査実施がやや遅れており、次年度に向けて患者の選定を行っている。 嚥下障害治療においては、神経筋電気刺激治療(neuromuscular electrical stimulation;NMES)を導入し、治療前後での舌骨上筋群の筋電図データを集積している。今後、そのデータを解析する予定である。一方、舌骨上筋群の筋機能強化を目的とした嚥下リハビリテーション手技として、頭部挙上訓練、舌挙上訓練と頸部等尺性運動(いわゆるおでこ体操)とでその効果を筋電図学的に、積分筋電値(Integrated electromyogram; IEMG)と,高速フーリエ変換による中間周波数(median power frequency; MdPF)を指標として比較した。その結果、舌挙上訓練が最も高負荷であり、筋の機能訓練という観点からは治療効果が高いことがわかった。今後、この結果を基にして効果的な嚥下リハビリテーション手技の確立とエビデンスの創出を行ってゆきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
fMRIの検査実施および解析のプロトコル確立に関しては概ね順調に進んでいるが、嚥下障害患者のfMRI検査実施数が少なく、解析も十分にには進んでいない。 神経筋電気刺激治療を併用した嚥下リハビリテーションのデータ集積は順調に進捗しているが、筋電図の解析はこれからの予定である。嚥下障害患者に対する嚥下内視鏡検査や高解像度マノメトリー検査による嚥下機能評価などは、順調に進んでいる。 嗅覚刺激を応用した嚥下リハビリテーションは少数例に対して実施しているが、今後症例数を増やす必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
当教室の教室員および当院リハビリテーション部の言語聴覚士などの協力を得ながら、嚥下障害患者のfMRIデータ集積と解析を進める。また、これらの患者に対して各種の嚥下リハビリテーションとNMESによる舌骨上筋群の機能訓練を行い、その効果を嚥下内視鏡検査のスコア評価法ならびに高解像度マノメトリーにより評価する予定である。引き続き、症例データの集積と解析を進める予定である。 これらを基にして、嚥下障害に対するリハビリテーション治療が中枢の嚥下に関わる神経ネットワーク機構のリモデリングに及ぼす影響を明らかにし、併せて嚥下訓練の効果に関するエビデンスを得たいと考えている。
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