研究課題
脂肪組織のリモデリング、脂肪幹細胞の機能に関する数多くの研究を行う中で、放射線照射組織の多くが、慢性的な虚血や炎症により、組織内の幹細胞が消耗されており、枯渇していることに気付いた。そして、この幹細胞欠乏こそが、病態の根本であり、そこを標的とする幹細胞補充療法が合理的な根治法につながるいう着想に至った。近年の脂肪移植法などにより、慢性化した虚血・線維性組織の質的・機能的改善が数多く報告されてきたことなどの事実は、この着想を支持している。組織幹細胞を豊富に含む脂肪組織を移植することにより、放射線障害組織、瘢痕拘縮組織、萎縮性変性疾患の皮膚・皮下組織の質的・機能的(創傷治癒能、神経機能改善、血流など)改善が見られることは、従来の疾患概念からは驚きである。一方、脂肪組織中に含まれる脂肪幹細胞や血管内皮前駆細胞を介した組織再生効果は、瘢痕拘縮組織、慢性萎縮性疾患など様々な難治性疾患の質的・機能的改善にもその適応が広がりつつあり、放射線障害組織においてもその有用性が認められてきている。マウス背部皮膚へ異なる照射条件で照射して、皮膚皮下組織を採取してその影響を分析するとともに、皮膚欠損を作製して、創傷治癒への影響を確認した。結果として、放射線照射群においては非照射群と比して、明らかな創治癒遅延を認めた。また、放射線照射群においては、総線量が同値でも1回照射量が異なると、創傷治癒期間に大きな差が出た。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plast Reconstr Surg
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