研究課題
前年度前の成果をふまえ、今年度は更に移植片の大きさと厚みについて検討を加えた。前年度までの結果では、移植片の大きさが5mm×5mmで、厚みを2mm以内にする必要があったが、ケロイド組織の厚みは通常2mmより大きな値となることが多く、これではケロイド組織像全体を反映したモデルとはいえない。従って、全層を移植し,生着させるために組織片の移植方法についてさらに検討を重ねた。その結果、移植片を正方形ではなく短冊状とすると、厚みはケロイド組織全層としても、生着することを発見した。移植片が生着しているか否かについての検討は、移植後4週、7週、9週、12週でサンプリングをし、組織標本を作製。核染色とビメンチン染色(線維芽細胞)、抗ヒトミトコンドリア抗体、の3重蛍光組織化学的染色を行い、移植前ケロイド組織と移植片内におけるヒト由来線維芽細胞とマウス細胞の数を計測した。その結果、4週以降、時間が経過するに従って、細胞数は軽度減少するも、少なくとも9週までは組織内のヒト由来線維芽細胞数は保たれていた。一方、マウス由来細胞の比率は4~5%程度で、移植片内の細胞はほぼヒト由来細胞と考えられた。また、ケロイド組織内での線維芽細胞の特徴のひとつに、HSP47の強発現があるが、移植片内の線維芽細胞もHSP47を強発現しており、ケロイドの特徴を維持している可能性が示唆された。ただし、研究代表者ならびに共同研究者が、研究期間中に所属研究機関が変わったことにより、採取できるケロイド検体数が当初の予想よりかなり少なく、この移植モデルを用いてのHtrA1阻害剤による影響の検討は実施できなかった。今後の検討課題としたい。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Int J Mol Sci.
巻: 19(5) ページ: pii: E1275.
10.3390/ijms19051275.