研究課題/領域番号 |
15H05007
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
塩崎 忠彦 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60278687)
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研究分担者 |
森 宣人 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00747149)
吉矢 和久 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (40379201)
射場 治郎 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (40570536)
嶋津 岳士 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50196474)
松本 直也 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (50359808)
清水 健太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60379203)
小倉 裕司 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70301265)
廣瀬 智也 大阪大学, 医学系研究科, 特任研究員 (70597509)
大西 光雄 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (70597830)
田崎 修 長崎大学, 病院(医学系), 教授 (90346221)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 心肺蘇生 / 脳酸素飽和度 / HAND ai TOS / 携帯型機器 / 救命士 |
研究実績の概要 |
2013年5月から大阪市消防局の救急隊員が、我々が独自に開発した携帯型脳酸素飽和度(rSO2)測定装置(HAND ai TOS)を用いて、心肺停止患者におけるrSO2連続測定を現場から開始した。2016年4月15日、この装置の特許(第5917756号)を獲得した。2017年3月の時点で54例のデータが得られている。心肺蘇生中のrSO2推移のパターンを、簡潔に①上昇する(12例)、②プラトーな状態が持続する(37例)、③下降する(5例)、の3通りに大別した。心肺蘇生に対する戦略を新たに構築する上で③のパターンは非常に意味がある。結果は、2017年米国心臓学会議(AHA2017)で発表する。また、更に小型軽量でワイヤレスのHAND ai TRITOSの開発に成功し、2017年4月末には薬事認証を獲得予定である。 心肺停止患者だけではなく、『パルスオキシメーターが正確な値を表示できない低酸素状態に陥っている重症心不全や重症呼吸不全の患者でも、rSO2は非常に有用なモニターとなる』ことが判明し、2017年5月の臨床救急医学会で発表する。 我々は、AHA2014及びAHA2015での発表を通じて、rSO2値が53%未満の場合、自己心拍が再開していない可能性が非常に高く、絶え間ない胸骨圧迫を継続するためにパルスチェックを省略できる可能性があることを証明してきた。その研究結果を基にして、『2分毎のリズムチェックは本当に必要なのか?』を実証する多施設研究(トリプルCPR16)を2017年1月より開始した(大阪大学倫理委員会承認番号16113)。UMIN公開は2017年1月23日で、1月24日に第1例が登録された。2017年3月末の時点で15例が登録されている。この研究は『2分毎のリズムチェックをせずに16分間胸骨圧迫をし続ける』という大胆なもので、ガイドライン2020への挑戦である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2016年度に掲げた研究目標は、次の3点である。【1】心肺停止患者の脳内酸素飽和度(rSO2)の推移のパターンと患者予後・病態との関連を明らかにすること。【2】rSO2推移のパターンと脳酸素代謝との関連を明らかにすること。【3】『rSO2の連続測定がパルスチェックの代替行為となりうる』ことを実証すること。 【1】に関しては、2016年4月15日、我々が独自に開発した携帯型rSO2測定装置(HAND ai TOS)の特許(第5917756号)を獲得した。心肺停止患者における現場からのrSO2連続測定データは、2017年3月の時点で54例で得られている。心肺蘇生中のrSO2推移のパターンを、簡潔に①上昇する(12例)、②プラトーな状態が持続する(37例)、③下降する(5例)、の3通りに大別した。心肺蘇生に対する戦略を新たに構築する上で③のパターンは非常に意味がある。結果は、2017年米国心臓学会議で発表する。更に小型軽量でワイヤレスのHAND ai TRITOSの開発に成功し、2017年4月末には薬事認証を獲得予定である。 【2】に関しては、心肺停止患者だけではなく、『パルスオキシメーターが正確な値を表示できない低酸素状態に陥っている重症心不全や重症呼吸不全の患者でも、rSO2は非常に有用なモニターとなる』ことが判明し、2017年5月の臨床救急医学会で発表する。 【3】に関しては、単施設および多施設での検証試験結果(AHA2014, AHA2015で発表)を基にして、『2分毎のリズムチェックは本当に必要なのか?』を実証する多施設研究(トリプルCPR16)を2017年1月より開始した(大阪大学倫理委員会承認番号16113)。UMIN公開は2017年1月23日で、1月24日に第1例が登録された。2017年3月末の時点で15例が登録されている。 以上のように、研究は非常に順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度に掲げた研究目標は、次の3点である。【1】心肺停止患者の脳内酸素飽和度(rSO2)の推移のパターンと患者予後・病態との関連を明らかにすること。【2】rSO2推移のパターンと脳酸素代謝との関連を明らかにすること。【3】『rSO2の連続測定がパルスチェックの代替行為となりうる』ことを実証すること。 2017年度は、【1】に関しては、携帯型(rSO2)測定装置(HAND ai TOS)を保持している大阪市消防(中央消防隊、都島消防隊、浪速消防隊、阿倍野消防隊)と長崎市消防で更なる症例の集積を図る。また、rSO2が漸減していくパターンを詳細に解析するため、病棟で自然死する場合のrSO2減少パターンを測定して比較検討する。【2】に関しては、携帯型(rSO2)測定装置(HAND ai TOS)を保持している上記の各消防隊が、心肺停止患者だけではなく、『パルスオキシメーターが正確な値を表示できない低酸素状態に陥っている重症心不全や重症呼吸不全の患者でも、rSO2を積極的に測定する。【3】に関しては、大阪大学以外の6施設(大阪市立大学、関西医科大学枚方、関西医科大学滝井、名古屋市立大学、国立病院機構大阪医療センター、大阪警察病院)で、各施設の倫理委員会から許可が出次第、順次研究に参加し、症例数の集積を図る。
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