研究課題
人工呼吸器関連肺炎や敗血症の高頻度起炎菌である緑膿菌が多剤耐性化し、致死的な院内感染発生が頻発している。近年、多くの他の病原性グラム陰性菌と同様に緑膿菌にもⅢ型分泌システムの存在が発見され、緑膿菌性肺炎に続発する急性肺傷害や敗血症の病態発生に深く関わっていることが解明されてきた。加えて、Ⅲ型分泌システムが関わる病原性を抑制できる標的として緑膿菌Ⅴ抗原PcrVが発見され、欧米では緑膿菌感染に対してⅤ抗原を標的とした抗体療法の開発が進められている。本研究では、ヒトへ臨床応用可能な緑膿菌PcrV・CpG-oligodeoxynucleotidesアジュバント複合体ワクチンを開発し、前臨床試験として動物にて安全性と有効性を確かめた。今回開発した緑膿菌PcrVワクチン抗原は、本プロジェクトにおいて前臨床試験として動物モデルを用いて有効性と安全性を示し、今後のヒト臨床試験第1相施行に繋げていく計画である。これまでの研究でPcrVワクチンには十分な有効性が示されており、アジュバントとの組み合わせにおいて、臨床応用の適応性と安全性とを評価してきた。近い将来的には、多剤耐性菌の発生が院内で認められた場合や、重篤な緑膿菌感染症が発生した場合、更には予防的に術後の人工呼吸管理が予想しうる大手術を受ける患者や、術前化学療法を行う手術予定の担癌患者などのハイリスク群を対象に、このワクチン療法を提供できることを目標とする。病原毒性の強い緑膿菌に対する免疫力を選択的に高め、感染が重篤化したり、院内感染が致死化・集団化しないように対処していくことにある。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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