研究実績の概要 |
1)昨年度、ヒト半月板培養細胞に対するLIPUS刺激により, inner細胞ではCCN2の遺伝子発現が上昇することを見出したが、CCN2蛋白量も増加すること、また、SOX9の遺伝子発現が上昇することを見出した。また, outer細胞ではCCN2の発現・蛋白産生共に上昇した。さらに、LIPUS処置はouter細胞の遊走を促進した。In vivo実験でラット膝にLIPUSを照射することにより, 半月板のCcn2の遺伝子発現は上昇し, Ccn3, Acan, Sox9, Col1a2, Col2a1, Vegfも発現上昇傾向を示した。次いで, 7週齢SDラットで両膝外側半月板(LM)断裂モデルを作成し, 術後7日目から1ないし 4週間毎日LIPUS刺激を与え治癒たところ, 断裂部の治癒がLIPUS刺激で促進された。 2)Cタイプレクチンドメインを有する膜タンパク質の一種 CD302/DCL-1がマクロファージ以外に破骨細胞に存在することを見出し、その発現がCCN2と同様破骨細胞成熟期に上昇し、また、CD302とCCN2が結合してアクチンリングの形成に協働作用していることを解明した。 3)IGFBP-TSPモジュール結合体の組み換え体タンパク質を調製し、鶏卵漿尿膜(CAM)アッセイで、その、angiogenesis活性を測定したところ、強い血管新生活性があることがわかった。 4)ヒト軟骨細胞様細胞株HCS-2/8細胞においてCCN2の発現をsiRNAでノックダウンすると、血管新生阻害因子Vasohibin 1(VASH1) mRNAの発現が低下した。ところが、同細胞にヒトVASH1発現vectorをトランスフェクトしVASH1を過剰発現させても、CCN2 mRNAの発現に大きな変動は認められなかった。以上の結果は、軟骨細胞においてVASH1は、CCN2の下流に位置することを示している。
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