研究課題
カテプシン群がミクログリアの傷害性(M1)あるいは保護性(M2)の二極性を決定する「分子スイッチ」として働く可能性を検討した。(1)ミクログリアの極性「分子スイッチ」としてのカテプシンの役割に関する解析:炎症性脳病態モデルにおいて野性型ならびにカテプシン群欠損マウス脳から単離したミクログリアを用い、極性マーカー遺伝子に関する定量的RT-PCRを行った。その結果、野性型マウス脳から単離したミクログリアではオートファジーに伴ってM1様分子(iNOS、TNF-αならびにIL-1β)の発現は増大したが、カテプシンBあるいはカテプシンE欠損マウス脳から単離したミクログリアでは発現は認められなかった。一方、M2様分子(arginase1、IL-4ならびにIL-10)の発現は野性型マウス脳から単離したミクログリアでは48時間をピークに増大したが、カテプシンBあるいはカテプシンE欠損マウス脳から単離したミクログリアでは12時間をピークに発現増大が認められた。(2)オートファジー系プロテアーゼ反応によりNF-κB活性化に関与するカテプシンの解析:ミクログリアのリソソーム分画存在下でリコンビナントIκBαをインキューベートした結果、時間依存的にリコンビナントIκBα分解が観察された。さらにIκBαの分解はペプスタチンA(カテプシンE阻害剤)あるいはCA-074Me(カテプシンB阻害剤)により有意に抑制された。(3)ミクログリア特異的なカテプシン群欠損マウスを作成するにカテプシン群のfloxマウスとCX3CR1-Creマウスをかけ合わせるだけでは不十分で、さらに細胞膜に発現するマンノース6-リン酸受容体を阻害する必要があると考えられる。以上の結果より、オートファジー系プロテアーゼ反応によりカテプシンEならびびカテスシンBのIκBα分解を介してNF-κBが活性化する可能性が示唆された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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