研究課題
わが国の肺炎による死亡数は年間12万を超えており,特に高齢者肺炎患者の死亡率が高く,かつ増加し続けている.平成24年度には日本の三大死因が53年ぶりに変化し,ついに肺炎が死因第三位となった.したがって,超高齢社会を迎える今日において,高齢者に好発する呼吸器感染症を予防することは喫緊の課題であると考え,肺炎に対する新たな予防および治療戦略の開発を行った.特に,独自開発した機能性糖脂質(ビザンチン)の細菌性肺炎に対する効果について実用性とそのメカニズムを解析した.昨年度までに開発した新規水溶性糖脂質(特許出願中)のマクロファージに対する作用を解析した結果、水溶性糖脂質は,マクロファージに対して細胞死をほとんど誘発することなしに細胞外へミトコンドリア由来核酸を放出していることが判明した.放出された核酸含有構造体は,緑膿菌や肺炎球菌を効率良く捕獲することから,マクロファージ細胞外捕獲網(METs)であることが明らかとなった.また,水溶性糖脂質によるMETs形成メカニズムを解析した結果,T型カルシウムチャンネルの活性化によるミトコンドリアの膜電位の変化が密接に関与していた.また,水溶性糖脂質(5 mg/kg,静脈内投与)をマウスに前投与後、肺炎球菌を経鼻接種(1x 107 cfu/10 μL)した結果,水溶性糖脂質群では,鼻咽頭および肺における肺炎球菌のクリアランス向上、さらに致死抑制効果が認められた.今後,NKT,TLR4,TLR2,mincleのノックアウトマウスを用いて,水溶性糖脂質の抗感染症メカニズムの解析を行い,新しい感染症予防法の確立を目指す.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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