研究課題/領域番号 |
15H05027
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
二川 浩樹 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 教授 (10228140)
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研究分担者 |
田地 豪 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 准教授 (80284214)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | DLC / インプラント / 骨芽細胞 / 破骨細胞 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、平成27年度に作製した水素化テトラヘドラルアモルファスカーボン(ta-C:H)コーティングチタンを用いて、骨芽細胞と破骨細胞に与える影響について、さらに詳細な検討を行い、その有用性についてエビデンスを集積した。 まず、ta-C:Hコーティングチタン上での骨芽細胞の初期接着について検討したところ、従来の純チタンやa-C:Hコーティングチタンに比較して、細胞が伸長し強固に接着している状態が観察された。 さらに、細菌感染は歯周炎やインプラント周囲炎の原因の重要なファクターとして知られており、歯周炎とインプラント周囲炎は、病態のみならず、周囲の細菌叢も類似することが知られている。そこで、歯周病原因菌であるPorphyromonas gingivalis由来のLPS刺激下で、骨芽細胞にどのような影響を与えるかについて検討した。その結果、ta-C:Hコーティングチタンは、従来の純チタンやa-C:Hコーティングチタンに比較して、ケモカインであるCCL2 mRNAの発現を有意に抑制した。また、破骨細胞分化のトリガーであるRANKLのmRNAの発現も有意に抑制した。これらの結果から、ta-C:Hコーティングチタンは、LPS刺激時のケモカイン発現や破骨細胞分化を抑制する可能性が示唆された。今後、破骨細胞においてもLPS刺激下でのta-C:Hコーティングチタンの影響を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の検討事項であった、LPS刺激下でta-C:Hコーティングチタンが骨芽細胞に与える影響について検討し、本チタンのバイオマテリアルとしての可能性を見出すことができた。一方で、同条件下での破骨細胞への影響なども含めさらなるエビデンスの集積が必要であるため、平成29年度以降も引き続き検討を加える予定である。以上の理由から、平成28年度についてはおおむね順調に研究が進展した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた知見を基盤として、ta-C:Hコーティングチタンのバイオマテリアルとしての可能性についてさらに詳細に検討を加える。 まず、LPS刺激下でta-C:Hコーティングチタンが破骨細胞に与える影響について分子レベルで検証する。これにより、生体内でLPSが曝露された場合、同チタンがどのような影響を与えるかが明らかとなる。 不適切な咬合による過重負荷は、歯槽骨吸収を伴う歯周炎やインプラント周囲炎の原因の一つとして知られている。そこで、インプラント周囲炎を想定し、骨芽細胞および破骨細胞の培養中にメカニカルストレス(圧縮刺激)を与え、ta-C:Hコーティングチタンが骨芽細胞や破骨細胞の分化に与える影響について検討する。
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