研究課題/領域番号 |
15H05030
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
澤瀬 隆 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (80253681)
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研究分担者 |
黒嶋 伸一郎 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (40443915)
佐々木 宗輝 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10706336)
中島 和慶 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (40707246)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | デンタルインプラント / 骨質 / 骨細胞 / 生体アパタイト結晶 / コラーゲン線維 / 優先配向 / 分子生物学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「骨細胞」と「骨質」に焦点を当て、荷重がもたらすインプラント周囲骨組織の骨質制御機構を分子生物学的に解明することにある。 本年度はまず、ラット専用インプラントの開発に着手した。申請時に使用していたラット用インプラントはヒト用インプラントとはかけ離れたデザインをしており、たとえ結果が得られても臨床的に関与するかどうかは疑問であった。そして申請者らは、ヒト用のインプラントデザインに極めて類似した形態をラット用インプラントに付与することに成功した。まず初めにヒト用インプラントのネック部長軸に対して反時計回りに60度の溝が付与された-60度グルーブインプラントと、ネック部の長軸に対して時計回りに60度の溝が付与された+60度グルーブインプラントを開発し、家兎の脛骨にて実験を行った。その結果、家兎脛骨に埋入された-60度グルーブインプラントも+60度グルーブインプラントも荷重によって骨反応が起こり、骨量は有意に増大していた。興味深いことに荷重環境下では、+60度グルーブインプラントは-60度グルーブインプラントと比較して、周囲骨組織の骨細胞ネットワークが有意に発達し、生体アパタイト結晶とコラーゲン線維の優先配向が起こっていた。以上のことから、荷重応答性に骨質を向上させるインプラントは+60度グルーブを付与されたインプラントであると結論付けた。この結果をもとにして我々はラットに対して使用可能で、家兎に使用したインプラントに類似したデザインのインプラントを開発した。現在このインプランを、ラット上顎第一大臼歯部抜歯後に埋入し、規則的繰返し荷重を加えて骨組織の応答性を検索する段階まで研究は進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画をしていなかったインプラントの開発に時間を要したが、ラットにインプラントを埋入して荷重を加える実験を行っており、現在、荷重応答性の遺伝子を決定する全段階まで研究は進んでいる。以上のことを総合的に判断して、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
インプラントが埋入後に繰り返し荷重が付与されたインプラント周囲骨組織を解析し、荷重応答性遺伝子をマイクロアレイにて複数選択する。その後ミシガン大学の三品裕司にデータを送り、ノックアウトマウスの作製が可能かどうかを検討する。 同時に荷重応答に関わる遺伝子を特定したら、分子生物学的手法を用いて多面的にインプラント周囲骨組織の解析を行う。免疫染色と定量PCRを中心に複数のタンパク質に焦点を絞り検索を行うが、それと同時に組織形態学的解析と工学的な解析を行って、骨細胞ネットワークの発達度合いと、生体アパタイト結晶とコラーゲン線維の配向性解析も行う計画である。
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