研究課題/領域番号 |
15H05034
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北村 正博 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (10243247)
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研究分担者 |
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70239490)
柳田 学 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (80379081)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 歯周病 / 再生 / サイトカイン / 幹細胞 |
研究実績の概要 |
本年度は、ビーグル犬に上顎両側前臼歯に人工的開窓モデルを作成し、試験群には0.3%FGF-2含有ハイドロキシプロピルセルロース(HPC)製剤を、反対側(対照群)にはHPCのみを投与し、両群の臨床的観察とマイクロCT解析を行った。その結果、両群ともに歯肉の裂開や退縮などの臨床的治癒不全は認められず、FGF-2製剤投与群においても歯肉増殖などの異常所見は観察されなかった。そして、製剤投与6週後にと殺し採取した組織片のマイクロCT解析の結果、FGF-2製剤投与群は対照群に比べ開窓部の新生骨体積の増加が観察された。次年度は、ビーグル犬に上顎両側犬歯に人工的裂開モデルを作成し、開窓モデルと同様に臨床的観察とマイクロCT解析を行うとともに、組織切片を作製し、両群の歯槽骨、歯根膜、セメント質などの再生量を比較しFGF-2の歯周組織再生効果を検討する予定である。そして、間葉系細幹細胞(MSC)含有移植材に適した足場材を選定するため、マウス歯根膜細胞(MPDL)と種々の濃度のフィブリン製剤(ボルヒール)、アテロコラーゲンおよびハイドロキシプロピルセルロース(HPC)からなる移植材を作製し、臨床的操作性と賦形性を検討した。その結果、フィブリン製剤、2~3%アテロコラーゲンおよび高濃度(1000-4000mPa)ハイドロキシプロピルセルロース(HPC)を足場材とした移植材が臨床的に優れた操作性と賦形性を有していることが明らかとなった。また、ボルヒールと同様のフィブリン製剤であるベリプラストPを用いてMSC含有移植材の試作を行った結果、細胞懸濁液とフィブリン液およびトロンビン液を各々5:1の割合で混合し両液を混和することにより、適度な操作性と賦形性を有する移植材が作成できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、予定通りビーグル犬の開窓モデルを用いたFGF-2の歯周組織再生効果の検討を実施した。また現在、裂開モデルを用いたFGF-2の歯周組織再生効果の検討に着手しており、ビーグル犬を用いた歯周組織再生実験に関しては、予定通り遂行できている。また、間葉系細幹細胞含有移植材に適した足場材の検討に関しても本年度は予定していた内容を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度となるため、平成28年度に行ったビーグル犬の歯周組織欠損モデルに対するFGF-2の歯周組織再生効果を詳細に解析し、重度歯周組織欠損に対するFGF-2の適応条件について考察する予定である。そして、MSC含有移植材に適した足場材の検討結果より、足場材とβ-TCPなどの骨補填材を組み合わせた至適移植材について検討を加える予定である。また、計画に若干の遅延が生じている間葉系幹細胞培養上清(MSC-CM)のプロテオーム解析に関しては、次年度の早期に本解析を計画している。
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