研究課題/領域番号 |
15H05037
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
本田 雅規 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (70361623)
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研究分担者 |
湯口 眞紀 日本大学, 歯学部, 助手 (00256885)
鳥海 拓 日本大学, 歯学部, 助教 (40610308)
磯川 桂太郎 日本大学, 歯学部, 教授 (50168283)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 歯髄幹細胞 / iPS細胞 / 神経堤細胞 / シュワン細胞 / 骨芽細胞 / 軟骨細胞 / 歯 / エナメル芽細胞 |
研究実績の概要 |
本研究課題までに、我々はヒト歯髄からiPS細胞の樹立に成功している。その樹立したIPS細胞から神経堤細胞に分化させて、歯の再生方法を確立することが今年からの目標であった。歯の再生には、上皮系細胞と間葉系細胞の2種類の細胞が必要であり、その相互作用によって、歯の再生が開始することがわかっている。これまでの他施設の研究から、歯の間葉系細胞の由来は、神経堤細胞に由来することが明らかにされている。そこで、本研究課題では歯の間葉系細胞の由来となる神経堤細胞をiPS細胞から誘導させて、歯の再生のための細胞源として、応用できる事を明らかにすることである。 本年度は、iPS細胞から神経堤細胞への分化誘導法を確立することを試みた(doi: 10.2220/biomedres.38.135.)。神経堤細胞への誘導方法は、これまでに、ヒトES細胞から神経堤細胞への誘導方法を参考にして行ったところ、我々が樹立したiPS細胞が神経堤細胞に分化誘導できることが分かった。神経堤細胞に分化したことの確認作業は、神経堤細胞が発現するマーカー蛋白をフローサイトメーターと免疫細胞化学染色にて確認した。過去に報告されているES細胞から誘導した場合と比較して、一部のマーカーで、異なる発現パターンが認められたので、神経堤細胞と異なる特性を持っていることが考えられたので, in vitroとin vivoの実験にて多分化能を確認したところ、in vitroにおいてシュワン細胞に分化し、in vivoにて神経堤細胞から分化した骨芽細胞による骨形成と軟骨細胞による軟骨形成を確認することができたので、iPS細胞から分化誘導させた神経堤細胞に多分化能の特性が認められた。特にシュワン細胞に分化誘導することは、神経堤細胞の特徴を示すものである。これらの結果から、iPS細胞から神経堤細胞への分化誘導が可能であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
iPS細胞から神経堤細胞に分化誘導することを確認することと分化誘導した神経堤細胞から歯の組織が再生できることが本年度の目的であった。iPS細胞から神経堤細胞への分化誘導に関しては、概要にも述べたように、in vitroとin vivoの実験から我々が樹立したiPS細胞から神経堤細胞に分化誘導できたと考えている。また、これらの研究成果は、国際雑誌にも掲載がされた。そこで、現在、神経堤細胞を移植して歯の組織形成を試み、移植実験については、すでに、開始して、現在、移植した細胞は移植中であるので、まだ、その点については十分な成果が生まれていないことから、進捗状況としては、おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
iPS細胞から分化誘導させた神経堤細胞への移植実験が概ね終わっていることから、来現つから順次、移植した試料を取り出して、組織学的および免疫組織化学的に解析することで、神経堤細胞の歯形成細胞への分化能を確認する作業を開始する。また、ヒト細胞の同定方法をヒトミトコンドリア抗体からヒト核抗体に変更し、移植した細胞がヒトiPS細胞である事を確認する。また、象牙芽細胞への分化誘導能を確認した後から、神経堤細胞から象牙芽細胞への分化へのキー分子の同定作業を網羅的解析から開始することを始め、最終年度において、本課題の最終の目標まで達成させる予定である。
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