研究課題
昨年度までの研究で、口腔がんにおいてmiR-205-5pはTumor-suppressor miRNAとして作用しており、そのTarget geneであるTIMP-2の発現を抑制することを明らかにした。そして、今年度は口腔がん由来細胞株を用いてmiR-205-5pがMMP-2の酵素活性を抑制することを明らかにした。以上より、「miR-205-5pはTIMP-2の発現を抑制してMMP-2の酵素活性を抑制する。MMP-2が細胞外基質を分解し、がん細胞が浸潤すると考えられるため、上記の経路を制御することで口腔がんのTumor-suppressor miRNAとして働いている。」と結論づけた。また、がん遺伝子として働くOnco-miRについて、約2500種類のmicroRNA (miRNA)の網羅的発現解析結果から候補を絞った。口腔がんの凍結検体9例と正常口腔粘膜組織5例での発現を比較して、がん検体で8倍以上の発現亢進を示したmiRNAが11種類、4倍以上の発現亢進を示したmiRNAが22種類、2倍以上の発現亢進を示したmiRNAが2種類同定された。さらに、転移を促進させるような働きをしているmiRNAを同定するために、転移例と非転移例での発現を比較した。転移例で8倍以上の発現亢進を示したmiRNAが1種類、4倍以上の発現亢進を示したmiRNAが10種類同定された。このデータベースを基にし、同定したOnco-miRや転移促進miRNAの機能解析を行い、予後との関連性を明らかにし、診断および予後予測マーカーとしての有用性を検討する。最終的には、同定したmiRNAのmimicあるいはinhibitorを用いて口腔がんモデルマウスにおける腫瘍の増殖・転移を抑制し、生命予後の改善が期待出来るかを判定し、治療応用へ繋げる予定である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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International Journal of Oncology
巻: 52 ページ: 841, 850
10.3892/ijo.2018.4260.