研究課題/領域番号 |
15H05040
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30344451)
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研究分担者 |
藤原 夕子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50466744)
疋田 温彦 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60443397)
高戸 毅 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90171454)
稲木 涼子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90632456)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マクロファージ / 遺伝子改変マウス / 2光子顕微鏡 |
研究実績の概要 |
マクロファージおよびM1/M2サブセットを特異的に標識する遺伝子改変マウスを作製した。当初は、マクロファージを特異的に検出し、かつ過去にM1サブセットに分化したことを刻印するため、LysMプロモーターの下流に、2つのLoxP配列に挟まれた緑色蛍光タンパク質GFPとpolyA配列(ストップ配列)、さらに下流に青色蛍光タンパク質CFPを持つDNAコンストラクト(1)、M1サブセットを検出するため、iNOSプロモーターの下流にCFPを持つコンストラクト(2)、M2サブセットを検出するため、Arginase Iプロモーターの下流に赤色蛍光タンパク質tdTomatoを持つコンストラクト(3)、M1サブセット特異的にCreリコンビナーゼを発現させるためにiNOSプロモーターの下流にCreを有するコンストラクト(4)を作製する予定であったが、掛け合わせの困難さ等を考慮し、再度設計を行った。結果として(1)と(3)を併せてcfmsプロモーターの下流に2つのLoxP配列に挟まれたストップ配列、さらに下流にGFP、アルギナーゼプロモーター、tdTomatoの配列を持ったコンストラクト(pcfms-lp-STOP-lp-EGFP-pArg-Tmt)および(4)を作製し、それぞれを導入した遺伝子改変マウスを計2系統作製した。また、創傷治癒部の2光子観察の有用性を確認するために、組織修復後の皮膚切片を作製し、正立型2光子励起顕微鏡による観察を行った。コラーゲンの存在を示す第2次高調波発生シグナル強度は、創傷部の成熟度によって異なることが確認できた。 さらに、2光子励起顕微鏡によるマウス組織修復観察系の確立のため、C57BL6マウスの背部を剃毛し、ペントバルビタールナトリウム麻酔下に生検用パンチを用いて直径5 mmの皮膚欠損を作製した。また皮膚欠損の長期観察を可能とするために背側皮膚チャンバーを導入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において最も重要な実験材料である、マクロファージおよびM1/M2サブセットを特異的に標識する遺伝子改変マウスを作製する事が出来た。 当初は、4系統を作出し、うち3系統を掛け合わせることでM1/M2サブセットを検出可能なマウスを作成する予定であったが、掛け合わせの困難さを解消し、目的の遺伝子を持ったマウスを得られる可能性を高めるため、当初別々のマウスに導入予定のコンストラクトを単一のベクターに挿入することで、最終的には2系統のマウスの掛け合わせで目的のマウスを得ることが可能となった。これにより、今後の解析の効率が非常に改善することが見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
2光子顕微鏡を用いたマウス組織修復のin vivo イメージングおよび各時点において採取したマクロファージの遺伝子プロファイル解析により得られた知見を基に、マウス末梢血から得られた単球分画に由来する組織形成性サブセットの大量増幅法について検討する。 マウス血液中の単核球を分離した後、培養皿に播種し、M-CSFやIL-4ならびに組織形成性サブセットにおいて高発現している増殖因子を添加した培地で10日間程度培養し、組織形成性サブセットの大量増幅を試みる。得られた細胞は遺伝子プロファイルを解析し、また、F4/80、CD68といったマクロファージマーカーあるいはiNOS、Arginase IなどといったM1/M2マーカーを用いてフローサイトメトリーで計測し、組織形成性サブセットの純度や均一性を評価する。 また、組織形成性サブセットマクロファージと、マウスより単離した皮膚角質細胞、口腔粘膜上皮細胞、線維芽細胞や間葉系幹細胞のトランスウェル上での共培養による上皮系・間葉系細胞の増殖・分化促進について検討する。1、 2、5、7日で各細胞を回収して、細胞数を計測し増殖促進能を評価するとともに、各細胞の分化マーカーを解析し分化促進能を検討する。
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