研究課題
本研究では、これまでに報告のないES/iPS細胞などの多能性幹細胞糖鎖マーカーであるリコンビナントBC2レクチンrBC2LCNのがん幹細胞(CSC)マーカーとしての可能性を、当科で樹立した口腔扁平上皮がん細胞株Ho-1-U-1とHo-1-N-1株、外陰部扁平上皮癌細胞株A431を用いて検討した。DMEM/F12(DF)培地に5%ウシ血清添加条件で維持培養しフローサイトメトリー(FCM)にて検討した結果、いずれの細胞株も1-2%程度のrBC2LCN陽性細胞を認めた。さらにDF6Fにて長期培養した各細胞株では陽性細胞率が顕著に増加した。レクチン陽性・陰性細胞をセルソーターにてソーティングし無血清単層培養後ライブセルイメージング(LCE)とウエスタンブロット(WB)にて検討した結果、A431とHo-1-U-1株ではLCE及びWBにて、陽性細胞群では陰性群にくらべ強い発現を示した。細胞低吸着ディッシュ上にレクチン陽性・陰性細胞をそれぞれ播種し、CSCの特徴であるスフェア形成能を検討した結果、レクチン陽性細胞群は陰性細胞群と比較して早期に多数の大きなスフェアを形成した。口腔CSCマーカーとして報告のあるCD133との関連についても検討した。FCMにてCD133とrBC2LCNを二重染色で検討したところ、各マーカーの発現は独立しており、これらマーカー発現はオーバーラップしていなかったが、レクチン陽性細胞と陰性細胞をソーティング後にそれぞれ単層培養後、CD133陽性細胞率をFCM法にて検討すると陽性細胞群ではCD133発現が高い傾向が認められた。ドロップレットデジタルPCRによる定量発現検討でも同様にレクチン陽性群はCD133遺伝子の発現が上昇していた。口腔がん細胞株におけるrBC2LCN陽性細胞はスフェア形成能というがん幹細胞の特徴を示し、がん幹細胞と関連をもつマーカーである可能性が明らかとなった。
1: 当初の計画以上に進展している
CD133や薬剤排出ポンプ系分子に注目していたが、新たなリコンビナントBC2レクチンrBC2LCNが、口腔がん幹細胞(CSC)マーカーとして有用である可能性が発見された。
リコンビナントBC2レクチンrBC2LCNのがん幹細胞(CSC)マーカーとしての可能性が示唆されたことから、従来からCSCマーカーとして用いられているCD133やsp細胞との細胞・分子生物学的特徴を明らかにして、新たな分子標的としての可能性を探求したい。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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