研究課題/領域番号 |
15H05049
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
仲野 和彦 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (00379083)
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研究分担者 |
野村 良太 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (90437385)
大川 玲奈 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (80437384)
仲 周平 岡山大学, 大学病院, 講師 (10589774)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ヘリコバクター・ピロリ菌 / 乳歯 / 感染根管 / 分子生物学的手法 / 歯髄組織 / 定着 / 胃炎 / 胃潰瘍 |
研究実績の概要 |
昨年度に、約50株近くのピロリ菌の全ゲノムデータを利用して、高い特異性と検出感度を有するピロリ菌の分子生物学的検出法を構築した。しかしながら、この検出系はピロリ菌を培養し抽出したゲノムDNAでは1~10 colony forming units(CFU)の高い検出感度を示したが、歯髄組織中に含まれるピロリ菌から抽出した細菌DNAを用いた場合には100~1000 CFUまで感度が低下することが明らかとなった。そこで、この検出系を改良することにより新たにNested PCR法を確立したところ、歯髄組織中に含まれるピロリ菌を検出した場合にも1~10 CFUの感度を維持することが可能となった。 重度う蝕(114症例)および外傷(17症例)が原因となり感染根管治療の適応となった小児患者から131サンプルの感染歯髄組織を採取した。この131サンプルのうち20サンプルは、異なる来院日に同一歯よりさらにサンプル採取を行った。これらのサンプルから細菌DNAを抽出し、Nested PCR法を用いてピロリ菌の検出頻度を求めたところ、131サンプル中51サンプル(38.9%)よりピロリ菌が検出された。また、同一歯より2度サンプル採取した20サンプルでは、1度目のサンプル採取において8サンプルよりピロリ菌が検出され、そのうち7サンプルでは2度目のサンプル採取においてもピロリ菌が検出された。 これらの研究結果から、高感度のピロリ菌検出法を構築することにより、約40%の小児および若年者の感染根管内にピロリ菌は存在し、ある一定期間定着することで感染を成立させていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに高い特異性と検出感度を有するピロリ菌の分子生物学的検出法を構築でき、今年度は多数の臨床検体を分析することができた。
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今後の研究の推進方策 |
臨床検体の分析を継続しつつ、予備的検討が終了した動物実験を本格始動させたいと考えている。
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