研究課題
DNAオリガミ体,イミダゾキノリン誘導体をアジュバンドとして用いて分泌型IgA(SIgA)産生を誘導するワクチン開発を目標とし,さらに歯周炎と動脈硬化性疾患の関連に着目して,イミダゾキノリンによる動脈硬化関連マーカーへの作用について検討を行った。動脈硬化関連分子であり,LDLレセプター分解酵素として炎症と脂質代謝変動をリンクする分子であるPCSK9の産生誘導に,イミダゾキノリンを含む核酸抗原が作用することを新しい知見として得た。これについては核酸抗原をアジュバンドとして用いた際の作用・副作用としての観点に加えて,感染においてLDLコレステロールが変動する機構は未だ明らかでないことからも詳細な検討を要すると考えられた。そのため,当初の計画に関連する中で計画修正を行い、PCSK9分子を軸にした分子機構の発展的解析と臨床資料の解析を行った。核酸抗原不応答マウスを用いて歯周病細菌感染によるPCSK9産生誘導能を検討した結果,核酸抗原がTRIF分子に非依存的にPCSK9産生を誘導し,その下流でTNF-αはPCSK9を直接誘導せずにLDLレセプターの発現に影響を与えるという知見を得た。さらに,ヒト試料の解析では,PCSK9の血中濃度と歯周炎罹患の関連を確認し,血中PCSK9のバイオロジカルマーカ―としての有用性を報告した。また,ワクチン開発と関連したテキサス大学サウスメディカルセンター、Bruce Beutler 研究室との国際共同研究により,ENUミュータジェエネシスの手法を用いて, SIgA産生に関連した機能を持つ遺伝子を新たに同定した。この遺伝子機能を欠失したCrispr-Cas9ノックアウトマウスの作製を終了したため,今後,フェノタイプ解析と分子機構について検討を行う。ワクチン開発や粘膜免疫における創薬の重要なターゲット分子になると考えられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Periodontal Research
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doi.org/10.1111/jre.12533