研究課題/領域番号 |
15H05053
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
栗原 英見 広島大学, 医歯薬保健学研究科(歯), 教授 (40161765)
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研究分担者 |
加治屋 幹人 広島大学, 病院(歯), 病院助教 (00633041)
岩田 倫幸 広島大学, 病院(歯), 助教 (30418793)
加藤 功一 広島大学, 医歯薬保健学研究科(歯), 教授 (50283875)
水野 智仁 広島大学, 病院(歯), 講師 (60325181)
藤田 剛 広島大学, 医歯薬保健学研究科(歯), 准教授 (80379883)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 細胞集塊 / C-MSC / 立体化 / 3Dプリンター |
研究実績の概要 |
本研究は骨髄間葉系幹細胞(MSCs)を利用して、ex vivoにて立体臓器を作成し移植する新規歯周組織再生療法の開発である。研究初年度に、MSCsと細胞自身が産生する細胞外基質(ECM)を利用することで間葉系幹細胞集塊Clumps of MSCs/ECM complex(C-MSC)を作成した。本年度はヒトC-MSCの免疫調節能を向上させる培養方法を樹立し、そのマウス頭蓋冠欠損モデルに対する異種移植が効果的な骨再生を示すことを明らかにした(Stem Cell Res Ther, Takeshita et al., 2017)。この結果は他家移植でも有用な可能性を示唆し、再生医療全般に貢献できる。 さらに、ビーグル犬根分岐部III級歯周組織欠損モデルに対して、約50個のC-MSCを人工足場材料を用いずに移植し、効果的な歯周組織再生を達成することも見出した(J Dent Res, Takewaki et al., 2017)。この事実は、C-MSCが十分な歯周組織再生能を有していることを示している。 また、C-MSCはI型コラーゲンを中心としたECMで形づくられているため、C-MSC同士が接触した状態で培養すると、24時間後には結合するという所見を得ている。このことは、培養皿に隙間なくC-MSCを設置して培養すると、培養皿の形態と一致する立体的な細胞塊を作成できることを示しており、実際に、円形などの単純な形態の賦与にすでに成功している(未発表データ)。
実際の臨床で遭遇する歯周炎は、より複雑かつ大規模な歯周組織破壊を示す。そこで、この欠損形態に合致するような細胞塊を得るため、3Dプリンターを用いて、複数個のC-MSCを結合させ、任意の形態に賦形する培養方法の開発に着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度に樹立した間葉系幹細胞集塊C-MSCの組織再生効果を確認でき、論文発表に至っているため。 今後、この組織再生能を有するC-MSCを複数個結合させ任意の形態を賦与する培養方法の樹立が、本研究遂行の要となる。
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今後の研究の推進方策 |
前述したように、直径1mmほどの細胞集塊C-MSCは十分な組織再生能を有している。そこで、このC-MSCをを複数個結合させ任意の形態を賦与する培養方法の樹立をめざす。 さらに、そのC-MSCを立体組織化させる方法を確立したのちに、ビーグル犬1壁性歯周組織欠損モデル(4mm x 4mm x 4mmの立法型の欠損)にたいし、欠損形態に合致する立体組織をC-MSCを用いて作成・移植し、その組織再生効果を検討していく
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