研究課題
歯周病原細菌Porphyromonas (P.) gingivalis由来lipopolysaccharide (LPS) 誘導性糖尿病性腎症マウスに対するtoll-like receptor (TLR)4阻害剤による腎症予防効果を報告した。TLRは細菌成分を認識してサイトカイン産生を誘導する自然免疫受容体で、糖尿病マウスはTLR2リガンドのP. gingivalis由来LPSの定期的微量頬粘膜投与で全マウスが腎症を起こした。この時生体用TLR2阻害剤の市販がなくエーザイUSAから供試されたTLR4阻害剤エリトランを糖尿病マウスにP. gingivalis LPSと同時投与した(第III相臨床試験まで通過した敗血症特効薬Eritoran,83142-1:2013-0162:Eritoran/E5564, Eisai Inc. USA)。エリトランはTLR2を阻害できないため腎症予防効果は無いはずであった。ところが劇的な効果が見られ、腎症はSTAT3-TLR2経路で誘発されることも明らかとなった。さらに、腎症マウスに腸炎が確認され、強力なTLR4リガンドである腸内細菌Escherichia coli LPSの腎循環への侵入が考えられた。以上より、糖尿病環境で血中に入ったP. gingivalisは体循環から腎循環に入り、構造の複雑な糸球体毛細血管に蓄積し、TLR2経路で腎症の引き金を引くと同時に、糖尿病性フレイルによる腸管免疫の撹乱によりTLR4経路を併せた複雑系を構築すると考えられた。疫学解析は、H29.2.28の個情法改正に伴い再度倫理審査を受け、また代表者の異動により岡山大学主管、福岡歯科大学を共同機関として継続中である。糖尿病性腎症の透析患者は歯周疾患有病率が高く、歯周疾患は糖尿病患者の腎症合併の独立危険因子である可能性が明らかとなってきている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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