研究課題/領域番号 |
15H05070
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
飯島 佐知子 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (80389890)
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研究分担者 |
貝谷 敏子 札幌市立大学, 看護学部, 准教授 (00381327)
大西 麻未 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (10451767)
渡邉 敦子 藍野大学, 公私立大学の部局等, 助教 (10568398)
五十嵐 中 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任准教授 (20508147)
宮津 珠恵 順天堂大学, 医療看護学部, 助教 (20638100)
福田 敬 国立保健医療科学院, その他部局等, 部長 (40272421)
豊川 智之 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (40345046)
片岡 純 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (70259307)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | がん看護 / 褥瘡 / 転倒予防 / 看護管理 / 費用効果分析 / ヘルステクノロジーアセスメント / 費用便益分析 |
研究実績の概要 |
平成29年度の目的は、1)看護に関する経済評価研究(HTA)について系統的なレビューを行い、費用効果が高い看護技術について明らかにすること。2)転倒予防について諸外国のガイドラインを収集し、急性期病院の看護師を対象とした教育プログラムを作成することであった。 その結果として、1)5つの文献データベースで、nurse, economic evaluation, , health technology assessment, RCT, cancer, pressure ulcer, fall等を用いて検索した3209件について、タイトル及び抄録によるスクリーニングした。その結果、がん看護65件、褥瘡128件、転倒47件、看護管理93件、その他看護242件に分類された。 2)英国、米国、カナダ、オーストラリアのガイドライン、教育プログラム及び医療の質評価の基準の関連について比較し、日本の看護師への転倒予防教育プログラムを開発した。英国のNHSとオーストラリアの医療の質・安全機構は、ガイドライン、認証評価基準、教育プログラムを作成し内容に一貫性があった。米国では、JCIの認証評価基準は共通しているが, 教育プログラムはJCIのみならず、医療研究・品質調査機構,退役軍人病(VA),ミネソタ州やマサチューセッツ州の病院が加入する病院団体ごとに独自に作成したToolkitを使用していた。内容として1)組織基盤、2)療養環境整備、3)補助具の使用、4)転倒リスク評価、5)情報共有、4)患者家族の教育、6)転倒率のデータ収集と原因分析と評価による対策再立案は共通していた。しかし、ハイリスク者の外傷予防対策を具体的に記述したものは、VAのみであり、ヒッププロテクター、マット、センサーの使用はToolkitによって異なっていた。これらの内容について日本人看護師向けの教育プログラムを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は、看護関連のHTAの取組について英国で調査を実施した。結果、NICEの臨床ガイドライン部門では、2013年に公募により医師,看護師、医療経済学、患者代表者20名によって9つの看護関連ガイドラインを作成した。 医療経済評価は、ガイドライン 開発における必須項目のため看護師配置のガイドライン作成時には新たに費用効果分析を実施した。NHSでは各病院おいてガイドラインの適用と看護師への教育活動を実施している。Care Quality Committeeは提供したケアの質を評価しており、評価の前提にガイドラインの遵守がある。さらに質評価の高い病院には、追加報酬の経済的インセンティブがあった。英国では、 HTAの実施からガイドラインの作成、教育、医療の質の評価および報酬が一連の制度として機能していることが明らかになった。 28年度はカナダを調査した。看護ケアのHTAは、看護師の役割に優先順位を付けて政策決定するために、研究として実施されていた。カナダのHTAの実施機関では看護は対象に含まれない。診療ガイドラインには経済評価の結果を含める義務はないが、診療行為の社会経済的インパクトを示すために、ガイドラインの記 述に含まれていることが多い。Accreditation Canadaが作成した診療部門のガイドラインの中に看護関連の内容を含んでいた。オンタリオ州登録看護師協会は現在50種類のガイドライン作成されている。ベストプラクティスを実施している看護師個人を表彰したり、ガイドラインの導入を3年間行う組織を認定し、ガイドラインの臨床適用の促進していることが明らかになった。 平成29年度は、複数の研究プロジェクトを並行して実施していたため、看護関連のHTAの過去10年間の研究について系統的レビューや、転倒予防対策について介入プログラムの作成が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の目的は、1)看護に関する経済評価研究(HTA)の系統的なレビューについては、がん看護、褥瘡、転倒、看護管理・その他看護の4グループ各2名の研究者がthe Cochran Collaboration’s tool to assess the risk of bias を用いて、研究デザインの質の評価を行う。評価の不一致については、第3の研究者を含めたディスカッションにより解決する。また、文献から抽出された結果は、費用対効果の研究に用いられる順序行列(permutation matrix)によって統合して、費用効果が高い看護技術について明らかにする。 2)転倒予防教育プログラムについては2病院の4病棟の協力を依頼して、病棟別のクラスターランダマイズドによる介入研究を実施する。2病院の内諾は既に得られている。
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