研究課題/領域番号 |
15H05097
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
百瀬 由美子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (20262735)
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研究分担者 |
藤野 あゆみ 愛知県立大学, 看護学部, 准教授 (00433227)
山崎 尚美 (平木尚美) 畿央大学, 健康科学部, 教授 (10425093)
天木 伸子 愛知県立大学, 看護学部, 講師 (40582581)
田中 和奈 奈良学園大学, 保健医療学部, 准教授 (90511155)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 認知症ケア / シミュレーション教育 / 模擬患者 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、病院、施設および在宅等の環境の特徴を考慮し、看護・介護職が多様な認知症の行動・心理症状(BPSD)に対応できるように、認知症高齢者の視点を尊重したケアの実践力向上をめざした教育プログラムを開発することである。平成29年度は、昨年度の実績を踏まえ、1)昨年度にインタビューした内容の質的分析した成果報告と、2)作成したシナリオと養成した認知症模擬患者を用いたシミュレーション教育の教育的介入を実施した。以下、概略を記述する。 1)昨年度に在宅・GH班が行ったインタビュー内容の質的分析結果を学術雑誌に報告した。 2)シミュレーション教育の教育的介入として病院班、在宅・GH班、施設班に分かれて実施し、その前後で認知症ケアの質評価、認知症に関するクイズ等の質問紙調査を実施した。 ①病院班:2施設52名の参加者(看護師)に介入した。研修会後アンケートでは、模擬患者を用いたことで臨床現場を疑似的に体現する機会となり、患者の思いを考えた看護について自らの看護実践を振り返る機会となった等の意見が多く聞かれた。認知症に関するクイズでは、認知症疾患種類の理解、パーソンセンタードケア等の合計得点の上昇が確認された。現在、介入3か月後の調査を実施し、分析中である。②在宅・GH班:3会場63名の参加者(看護師・介護職等)に介入した。シミュレーション教育のためのシナリオ教材の内容妥当性を確認し、参加者の認知症ケアに対する認識等について介入前後のデータを分析中である。③施設班:1施設14名の参加者(看護師・介護職等)に介入した。研修会後アンケートでは、認知症高齢者への自らの対応を振り返り、認知症高齢者へのよりよい対応を考えることができた等の意見が聞かれた。現在、介入前後のデータを分析中である
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終段階であるシミュレーション教育の教育的介入について病院班と在宅・GH班は終了し、現在、データの収集・分析中である。施設版については、今年度中に教育的介入を実施し、データ収集・分析を終える予定である。最終年度である今年度は、計画通り、病院班、在宅・GH班、施設版のこれまでの成果を分析・統合できる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
模擬患者を用いた認知症高齢者へのケア対応力を高めるシミュレーション教育プログラムの効果を検討するために、以下の研究の推進方策を進める。 ①病院班:昨年度から継続中の教育介入の調査結果の分析を進め、教育介入の評価を行う。また、教育的介入時に一部シナリオ修正を行ったため、他のシナリオも教育介入に活用しやすく学習効果の高いシナリオとなるよう見直す予定である。 ②在宅・GH班:昨年度行った教育的介入の介入3か月後のデータ収集を6月に実施し、昨年度のデータと合わせて分析する。そして、シナリオ教材の質の担保のための評価とシミュレーション教育プログラムの検証を行い、研究成果の報告として学会誌に投稿する予定である。分析に関しては、在宅・GH班のコア会議を実施する予定である。 ③施設班:3施設の介護職・看護職を対象に8月末を目途に教育的介入を行い、介入前後の質問紙調査を行う予定である。また、シナリオについて目標がデブリーフィングガイドと一貫しているか等を評価し、現場のニーズに即しかつ学習効果の高いシナリオに修正する。 上記の認知症模擬患者を用いたシミュレーション教育(①病院班、②在宅・GH班、③施設版)のデータを分析・統合し、シナリオの評価および認知症高齢者へのケア対応力を高めるシミュレーション教育プログラムの効果を検証する。また、養成した認知症模擬患者のフォローアップと養成プログラムの評価も行う
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