研究課題
平成27年度は、文献検討とPCC事業の実践例を基に、超高齢社会に向けた市民と看護職のパートナーシップに基づくケア(People-Centered Care:以下PCC) の定義、構成概念を明らかにした。また、概念図を作成し、英語版のPCCポケットガイドを完成させ、大学のホームページに掲載し、広くPCC概念を普及する環境を整えた。1)【PCCの定義と構成概念の明確化】:PCCの定義と構成概念を明らかにする目的で、1980年~2015年の期間に、看護、医学、心理学の領域で出版された文献を対象に、医学中央雑誌、CINAHL、EBSCO、MAGAZINEPLUS、PubMed、NAHS、JAMAS、CiNiiの文献検索エンジンを用いて、[People-Centered Care][People centered health care][Partnership]のキーワードを投入し、44文献を最終対象とした。さらに、聖路加国際大学のPCC実践開発研究事業の実践例を基に構成概念を確認した。その結果、PCCとは、「個人や地域社会にある健康問題を改善するために、市民が保健医療スタッフとパートナーを組み、主体的に健康をつくる社会をめざす取り組み」と定義され、そのPCCには、市民と医療者が関係基盤を示す「互いを尊重する」「互いを信頼する」「互いを尊敬する」と、行動姿勢を示す「互いの持ち味を活かす」「互いに役割を担う」「ともに課題を乗り越える」「意思決定を共有する」「ともに学ぶ」の8つのパートナーシップの要素をもつことが示された。2)【成果の国内外への情報発信】:上記の成果をWHOの会議の場で報告、また「PCCポケットガイド(英語版)」として作成し、聖路加国際大学のホームページからダウンロードできる環境を整えた。
3: やや遅れている
当初の計画では、27年度内にPCCの定義・概念図の作成をし、PCC評価項目の抽出まで行う予定であった。しかし、当初予定していた海外研究協力者のコンサルテーションが、先方の突然の異動のため実施困難となり、後任の候補者との日程調整に時間を要し、全体の計画に遅れを生じた。しかし、本研究課題の1つであった、PCCの定義・概念図の構築は、予定通り終了した。現在は、この成果を基に、PCC評価指標の開発に向けて、PCC評価指標の抽出、選定、作成へと進めている。
今後の計画は、27年度の調査で明確化した「People-Cenetered Careの定義・概念」を基に、PCC(市民と看護職のパートナーシップに基づくケア)の評価指標を開発する。PCC評価指標の開発にあたっては、既に文献検討および聖路加国際大学のPCC事業主の意見より抽出したPCC評価指標のアイテムから、PCCに関する専門家である研究代表者、分担研究者、連携研究者と共に、項目選定を行いPCC評価指標(案)を作成していく。聖路加国際大学では、約15事業のPCC事業が現在運営されており、そのPCC事業に参与している市民と専門職を対象に、PCC評価指標(案)を用い予備調査から本調査へと進めることで、PCC評価指標の信頼性・妥当性を検証していく予定である。上記の調査を進めていくと同時に、グローバルヘルスにおける動向を視野に入れ、国内外の情報収集および情報発信を進めていく。特に、聖路加国際大学が、WHO看護開発協力センター(以下:WHOCC)であることから、引き続き本研究の成果を各国のWHOCCとの交流の場で発信していく予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
Revista Latino-Americana de Enfermagem
巻: 25,e2339 ページ: 1-10
10.1518-8345.1657.2839
http://research.luke.ac.jp/who/documents.html
http://research.luke.ac.jp/en/whocc/documents.html