研究実績の概要 |
第3期がん対策推進基本計画において、がん患者への就労支援が求められている。最終年度は、現在までに収集・分析してきた、外来化学療法で治療中のがん患者を対象に実施した治療と就労の両立に関する実態調査及び外来化学療法を担当している看護師に実施した治療と就労の両立支援に関するフォーカスグループインタビューから就労支援に関するアセスメント項目を作成し、看護の現状を把握するための独自の調査票を作成した。そして、就労中のがん患者に看護を提供していると考えられる大都市圏の医療機関に従事する認定看護師(がん化学療法・がん性疼痛看護・乳がん看護)とがん専門看護師、1,443人を対象に無記名の自記式質問紙票を送付し分析することで、今後のがん患者への治療と就労の両立支援にむけた方策の礎することとした。調査は帝京大学倫理委員会の承認を得て行った(帝倫18-101号)。597名より回答があり(回収率41.4%)、582名を分析対象とした。年代は40代が326人(56.0%)で最も多かった。臨床年数の平均は21.7±6.3年、認定年数は7.8±4.4年であった。看護分野では、がん化学療法看護261人(44.8%)、がん性疼痛118人(20.3%)、乳がん看護69人(11.9%)、がん専門看護師134人(23.0%)であった。がん患者の就労に関するアセスメント項目のうち、9割以上の者が就労支援に向け、確認している項目は、業種、勤務制(日勤や交替勤務)、会社の病気に対する理解であった。逆に5割未満であった項目は、職域での役割(職位など)、上司の病気に対する理解であった。さらに、確認の必要性有りと回答しているが、実際は、確認されていない項目は、雇用形態、就業時間、業務内容、上司の病気に対する理解、職場への病行の告知状況、仕事へのやりがいであった。がん患者の就労支援について関心をもっているが、がん患者の就労支援にむけた看護師の支援内容については今後も引き続き検討していく必要がある。
|