研究実績の概要 |
本研究では,バングラデシュ,マレーシアの大気中浮遊粒子状物質の発生源を安定同位体比とレセプターモデルとを組み合わせた方法により,定量的に把握することを目的とした。研究代表者は国内における粒子状物質の発生源の解明のために,炭素,窒素安定同位体比を分析し,冬季において中国から我が国への越境汚染の存在を証明してきた(Kawashima and Kurahashi, 2011; Kawashima and Haneishi, 2012等)。安定同位体比は,粒子状物質の複雑な発生源を識別するための極めて有効な指標になりつつある。発生源を解明することで,効率・効果的に有効な対策をとることが可能になる。また,アジアの越境汚染問題は,我が国にとっても国家問題になる恐れもあり,アジア地域と協力して解決していくことは,今後は益々重要になっていくと考えられる。特に南アジア地域は,今後,益々問題視される地域であり,また複雑な発生源があるなど,注目すべき場所である。 平成28年度は,7月にバングラデシュ・ダッカでテロが発生するなど現地の治安が悪化し,現地調査が困難となった(外務省の危険情報はレベル1からレベル2)。そのため,ダッカ大学には既にサンプラーの配送は完了していたが, 設置・開始することが出来なかった。今後の方針等は, Skype,Facebook等でホストリサーチャー,学生と情報交換を行い,今後のサンプラーの設置,研究の打ち合わせを行った。
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