研究課題
ソロモン諸島の中でも、環礁は特に海抜が低いため海面上昇の影響を受けやすく、しかも本島からのアクセスが悪いために、様々なインフラや支援からも隔絶されやすい。本年度はそのような環礁の一つである、テモツ州リーフ環礁で健康診断や環境調査を行った。リーフ環礁では、毎年海岸がえぐられるかのように土壌が流出しているところがあり、そのためココヤシが倒れたり、果樹が枯死したりという影響があった。また集落にも浸食がみられ、人々は石を積み上げて防潮堤としたりした。一方、マングローブを植林して浸食を防ごうとする試みもあり、そこには新しく低生生物の生態系が生まれることや、食用マングローブ種が実るコベネフィットも期待された。健康診断や聞き取りは228人が参加した。前年までに調査した海面上昇の影響がないササムンガ村(146人)、海面上昇が顕著な町であるタロ町(141人)と合わせて分析をした。多変量解析をした結果として、タロ町では肥満が多く、これは島内に農地を作れないことなどが、運動不足や外部食品への依存を高めたためと考察された。一方、リーフでは高血圧が少なく、高塩分の輸入食品にアクセスしにくいためと考察された。最後にリーフではメンタルヘルスに不調をもつ住民がいることも見られた。生活における問題について聞き取ると、リーフ環礁住民はほかの2か所と比べても不安が多く、水・食料、生業や収入、何もすることがない時間が多すぎることなども深刻な問題と考えていた。SDGsなどにも掲げられる気候変動適応策を考える場合には、適応策が伝統的な暮らしや環境と両立することや、メンタルヘルスへの配慮が必要である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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