研究課題/領域番号 |
15H05129
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
澤田 純明 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (10374943)
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研究分担者 |
佐藤 孝雄 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (20269640)
本郷 一美 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (20303919)
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
高橋 遼平 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (40728052)
江田 真毅 北海道大学, 総合博物館, 講師 (60452546)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 先史学 / 動物考古学 / 人類学 / 初期家畜 / 東南アジア |
研究実績の概要 |
(1)研究計画の3年目にあたる2017年度は、共同研究者とともにハノイのベトナム考古学院を訪問し、前年度に予備的調査を実施したベトナム北部カッドバ島カイバオ遺跡出土動物骨を対象に、動物考古学的調査を実施した。カイバオ遺跡は、約4000~3500年前のハロン文化期の先史遺跡で、北部ベトナムのニンビン省に所在するマンバック遺跡(フングエン文化並行期、約3800~3500年前)と地理的・時代的に近い。マンバック遺跡からは大量のブタが出土しており、東南アジア大陸北部で明確な家畜のブタが見つかった最初期の遺跡と目されているが、北部ベトナムの同時期の遺跡で精緻な動物考古学的調査が実施された例は少なく、カイバオ遺跡のデータは、この地域の家畜導入期における生業活動の全容を解明するために重要である。今年度の調査の結果、出土動物は海生魚類とイルカを主体とし、その他にイノシシ/ブタ、マカク、少量の小中型食肉類と鳥類を含むことが判明した。マンバック遺跡で認められたようなブタを主体とした種組成はみられず、選択的に海産資源を利用する生業が営まれていたことが推察され、家畜導入期の北部ベトナムで多彩な食料獲得戦略が存在していたことが明らかになった。カイバオ資料の分析は2017年度調査では終了しなかったので、2018年度も継続して実施する予定である。 (2)ベトナム考古学院の共同研究者であるNguyen Thi Mai Huong氏を日本に招聘し、日本の研究機関の電験を用いた資料調査および研究協議を実施した。 (3)前年度までに調査を続けてきたハンチョー遺跡(ベトナム北部ホアビン省所在、約20000~10000年前)から出土した動物骨の分析がほぼ完了したので、その分析結果をまとめ、論文の作成に着手した。同論文は、2018年度中に国際学術雑誌に投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画で予定していたハンチョー遺跡とマンバック遺跡の資料調査をほぼ完了した。新たに、カイバオ遺跡から出土した動物骨の分析に着手したが、同資料の分析もこれまでのところ順調に進行している。また、当初計画の通り、ベトナム考古学院の共同研究者を日本に招聘して共同研究活動を実施した。以上の通り、概ね当初計画の通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)カイバオ遺跡から出土した動物資料の動物考古学的調査の完了を目指す(2018年度中)。カイバオ遺跡はベトナム北部で最初期のブタの存在が確認されたマンバック遺跡と地理的・時代的に近く、カイバオ遺跡とマンバック遺跡の研究成果を総合することで、この地域の家畜導入期における動物利用様相の全体像を解明し得ることが期待される。 (2)マンバック遺跡から出土したキジ科資料について、幾何学的形態解析、DNA解析、コラーゲンフィンガープリンティング法によるアミノ酸解析を実施し、その精確な種同定を試みて、ニワトリの可能性を検討する。 (3)ハンチョー遺跡の研究成果を論文にまとめ、国際学術雑誌に投稿する。 (4)ICAZ2018(9月2日~7日、トルコ)で研究成果を発表する(演題名:The hunting strategy in the Hoabinhian period of northern Vietnam)。
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