研究課題/領域番号 |
15H05129
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
澤田 純明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 准教授 (10374943)
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研究分担者 |
佐藤 孝雄 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (20269640)
本郷 一美 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (20303919)
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
高橋 遼平 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (40728052)
江田 真毅 北海道大学, 総合博物館, 講師 (60452546)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 東南アジア / 初期農耕 / 狩猟採集 / 家畜 / 動物考古学 |
研究実績の概要 |
(1)本科研でこれまでに得られた研究成果をまとめ、トルコのアンカラで2018年9月2日-7日に開催された「13th ICAZ International Conference」で発表した(発表タイトル:The hunting strategy in the Hoabinhian period of northern Vietnam、発表者:Junmei Sawada ほか共同研究者9名)。(2)日本・ベトナムの共同研究者とともに、ベトナムのホアビン省に所在するハンチョー洞穴などホアビン文化期の洞窟遺跡を踏査した。また、ホアビン省石灰岩山岳地帯の景観調査を実施した。今回の踏査で、ホアビン文化期の洞窟利用を解明するために有望と思われる洞窟遺跡を確認したので、次年度以降にベトナム・日本の共同調査として発掘を実施することを検討中である。(3)ハノイのベトナム考古学院を訪問し、ベトナム北部カッドバ島カイベオ遺跡出土動物骨の動物考古学的調査を実施した(前年度の継続研究)。カイベオ遺跡は、約4000-3500年前のハロン文化期の先史遺跡で、本科研の動物資料の調査対象としているマンバック遺跡(フングエン文化並行期、約3800~3500年前)の比較遺跡として好適である。現在までの調査により、マンバック遺跡からは家畜のブタが多く見つかったのに対し、カイベオ遺跡の動物骨にはブタがほとんど(もしくは、全く)みられず、イルカなどの海生哺乳類や沿岸性の魚類を主体的に利用していた様相が確認されている。地理的・時代的に近い両遺跡の動物相が大きく異なることは、農耕・家畜導入期の北部ベトナムの社会の構造を探る上で興味深く、両遺跡の出土動物資料の調査を次年度も引き続き実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画で予定していたハンチョー遺跡とマンバック遺跡の資料調査をほぼ完了し、国際学会で成果の一部を発表したほか、成果をまとめた論文を執筆中である。マンバック遺跡の比較資料として分析を進めているカイバオ遺跡から出土した動物骨の検討も、共同研究者の協力のもと、順調に進行している。当初計画に盛り込んでいたベトナム考古学院の共同研究者の日本への招聘は全て完了している。以上の通り、 概ね当初計画の通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)ベトナム・日本の共同研究として、ホアビン省のホアビン文化期石灰岩岩陰遺跡の発掘調査を実施する。(2)ハノイのベトナム考古学院を訪問し、北部ベトナムのカッドバ島に所在するカイバオ遺跡(4000-3500年前)から出土した動物資料の動物考古学的調査を実施する(2018年度調査の継続研究)。(3)マンバック遺跡から出土したキジ科資料について、DNA分析、およびコラーゲンフィンガープリンティング法によるアミノ酸解析を実施し、ニワトリ(家禽)の可能性を検討する。(4)現在執筆を進めているハンチョー洞穴出土動物資料の研究論文を完成させ、国際学術雑誌に投稿する。(5)本科研の研究成果をまとめ、動物考古学の専門誌に投稿する。
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