研究課題/領域番号 |
15H05134
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
松岡 昌志 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (80242311)
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研究分担者 |
三浦 弘之 広島大学, 工学研究院, 准教授 (30418678)
山崎 文雄 千葉大学, 大学院工学研究科, 教授 (50220322)
丸山 喜久 千葉大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70397024)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 防災 / 地震工学 / 微地形 / 地理情報システム |
研究実績の概要 |
地震ハザード評価の対象地域のひとつであるチェンライ市における地盤モデル作成に関して,SRTMのDEMから3つの地形量(傾斜,凸部の分布密度,尾根谷密度)を用いて,既往の手法を参考にして微地形分類を行った。その際には,解析対象範囲をチェンライ市を含む狭い範囲と東南アジア地域を含む範囲の2つの範囲に適用し,さらに,DEMの解像度について250mと1000mメッシュの2種類を用いて,これらの組み合わせから4つの微地形分類図を作成して比較と考察を行った。既往手法では地形を16種類に区分するが,ここでは,山地,傾斜地,台地,低地の主要4区分に大まかに分けて,解析対象地域およびDEM解像度が結果に与える影響を主題図の変化分析にて検討したところ,解析対象地域を変えると主要4区分間において地形が変化するなど,結果に大きな違いがみられた。一方,DEM解像度の違いは主要4区分内の地形間で変化を与えることがわかった。前年度チェンライ市にて微動計測を行った地点のH/Vスペクトルから読み取った地盤の卓越周期と4つの微地形分類図の対応をみたところ,解析対象地域が東南アジア,DEM解像度が250mの場合がもっとも対応関係がよいことから,このデータセットから得られる結果をチェンライ市の微地形分類図として選定した。チェンライ市の地盤は周期0.1から0.6秒と比較的硬質な地盤ではあるが,卓越周期に基づき地盤を3種類に区分して,微地形区分の対応から,チェンライ市の地盤(卓越周期)マップを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
タイ王国のダム周辺の活断層モニタリングの時系列InSAR解析に関連した活動として,当初予定していたタイ王国の共同研究(政府)機関におけるInSAR解析技術研修を2017年度に実施することに変更した。理由は国王の崩御に伴う国の体制の変化によって共同研究機関の協力体制が不十分であると判断したからである。時系列InSAR解析技術を実践するためには,その基礎であるInSAR解析を習得する必要がある。InSAR解析の技術研修を2017年度に延期したことにより,時系列InSAR解析の技術研修を本研究課題の期間内に実施することが困難になってきた。時系列InSAR解析技術研修が出来ない場合には,関連テキストや論文を現地の研究者に提供し,メールやSkypeミーティングにて対応していく可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
チェンライ市にて実施した微動計測(極小アレイ観測記録)から表面波の分散曲線を算出し,さらに,地盤の平均S波速度(Vs30)を推定する。チェンライ市およびチェンマイ市にて実測した微動計測データやボーリングデータを既往研究から収集して,Vs30データセットを補完する。なお,チェンマイ市における微地形分類図は2016年度にて検討した手法に基づき作成しておく。次に,微地形区分とVs30の関係を調べて,微地形区分からチェンライ市のVs30マップと増幅度マップを生成する。微地形区分のみでは情報が不足する場合には地質図なども参考にする。2016年度で作成した卓越周期を示す地盤マップおよび増幅度マップに基づき,チェンライ市の地震ハザード評価を行う。さらに,チェンライにおける起業家を対象にした事業継続計画策定を支援するハザード・リスク評価システムのプロトタイプを構築し,本研究課題の地震ハザード評価結果を実装し,ユーザ評価を実施する。ダム周辺の活断層モニタリングについては,タイ王国の政府機関にInSAR解析手法の技術移転のための研修とワークショップを行い,ダムを含む活断層の変動モニタリングを継続的に実施する体制を構築する。これらの研究活動を論文等にまとめ広く公表する。
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