研究課題
本年度は、インドネシアのマカッサルとベトナムのフエにおける、植物・海綿・放線菌の採集調査と遺伝子の保存及び採集した植物と海綿の化学成分の解析を行った。その結果、ベトナムにて採集したバンレイシ科植物Uvaria grandifloraの地上部抽出エキスから新規化合物2種を含む計12種の化合物の単離に成功し、新規化合物(-)-3-O-debenzoylzeylenoneに、ヒト肺がん細胞LU-1及びヒト悪性メラノーマがん細胞SK-Mel-2に対して比較的強い細胞増殖抑制活性のあることを明らかとした。また、Hedyotis piluliferaの抽出エキスから新規イリドイド1種を含む計6種のイリドイドの単離に成功し、新規イリドイド10-acetylborreriageninが弱いながらもStaphylococcus aureusに対して抗菌活性を示すことを明らかにした。一方、インドネシア産フトモモ科植物Baeckea frutescensの抽出エキスから新規6種を含む計10種類の化合物の単離・構造決定に成功し、新規化合物baeckenone BがBacillus subtilisに対して抗菌活性を有することを明らかにした。また、新規化合物baeckenone Fが、ヒト膵がん細胞PSN-1、ヒト肺がん細胞LU-1、及びヒト乳がん細胞MDA-MB-231に対して弱いながらも細胞増殖抑制活性を有することを明らかにした。さらに、国外共同研究者がミャンマーにて採集したショウガ科の薬用植物Kaempferia pulchraから新規イソピマラン型テルペノイド23種を含む計31種の化合物の単離・構造決定に成功した。ニガキ科植物Picrasma javanicaの樹皮の抽出エキスから新規化合物13種を含む計18種の化合物の単離・構造決定に成功し、新規化合物Picrajavanicin Mが、ヒト膵がん細胞PANC-1に対して比較的強い細胞増殖抑制活性を示すことを明らかとした。
2: おおむね順調に進展している
平成27年度は、インドネシアのマカッサルとベトナムのフエにおける植物・海綿・放線菌の採集調査と化学成分の解析及び採集した遺伝子の保存を達成目標としていた。今年度において、これらの地域の一部の植物・海綿・放線菌の採集と遺伝子を保存することができた。また、採集した海綿、放線菌からの生物活性化合物の単離までには至っていないものの、採集した数種の植物から生物活性化合物の単離・構造決定に至っていることから、総合的に考えて、概ね計画通りに進展していると考えている。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 13件、 査読あり 14件、 謝辞記載あり 12件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
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