研究課題/領域番号 |
15H05143
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡本 正明 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (90372549)
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研究分担者 |
伊賀 司 京都大学, 東南アジア研究所, 研究員 (00608185)
本名 純 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (10330010)
相沢 伸広 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 准教授 (10432080)
見市 建 岩手県立大学, 総合政策学部, 准教授 (10457749)
新井 健一郎 共愛学園前橋国際大学, 国際社会学部, 准教授 (70548354)
渡邉 暁子 文教大学, 国際学部, 講師 (70553684)
日下 渉 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (80536590)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地域研究 / 用地開発 / 都市政治 / 首都圏開発 / ジャカルタ / マニラ |
研究実績の概要 |
今年度は予定通り、2015年10月にジャカルタ首都圏で、2016年2月にマニラ首都圏で共同調査を実施した。共同調査では、都市開発に関わる国家・地方行政機関、民間開発業者、不動産業界団体、NGO、撤去対象となった住民たちとインタビューを実施した。また、本科研の打ち合わせとあわせて、4回の東南アジア都市政治研究会を実施することができた。アメリカの都市政治研究者、民間の不動産開発業者の方も含め、合計7名(日本人6人、フィリピン人1人)(テーマ:ジャカルタ首都圏:3名、マニラ首都圏3名、アメリカ都市1名)に発表をお願いし、東南アジアの首都圏の政治について極めて貴重な意見交換をすることができた。 調査の結果、経済成長が顕著なインドネシア、フィリピンの首都圏では急速に用地開発が再開発としても新規開発としても進んでいること、そして、違法な居住区の再開発にあたっては、かつてのような強制撤去ではなく、国家のスキームも使いながら代替案を提示する形で再開発が進められようとしていることが分かった。東南アジアの調査対象の4首都圏(ジャカルタ、マニラ、クアラルンプール、バンコク)のうち、民主的・分権的な政治体制を取る国家の首都圏ジャカルタとマニラについては、民間セクター、そして、地方自治体の役割が顕著であるが、用地開発に関わる規制権力としての国家の役割、更に、複数の自治体をまたがる開発に果たす国家の役割は依然として重要であることがわかった。ただ、フィリピンとインドネシアを比べると、規制権力の国家という点では、フィリピン国家のほうが、多様な国家機関が用地開発に関わる規制権力を持っており、それが用地開発を時間的・金銭的にコストがかかる要因となっている。また、開発用地面積が小規模になりがちな理由でもあると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共同調査、研究会の実施という点では順調に本研究を進めることができた。とりわけ、接触が困難と思われた民間セクターの開発業者、それから、業界団体関係者とネットワークを構築できた意義は大きい。今後の研究を推進していくうえで有効である。
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今後の研究の推進方策 |
用地開発に関わるアクターに焦点を当てすぎると、地方自治体、民間開発業者、NGOを対象としがちとなってしまう。しかし、本研究の焦点の1つは用地開発に果たす国家の役割であるので、その点をもう少し意識的に調査していく必要があり、国家アクターへの調査を集中的にする必要もある。具体的な調査と情報収集にあたっては、現地の大学や調査機関との提携関係を結ぶ必要があり、インドネシアについては、当初の提携先に加え、首都圏の外延での開発の中心地区の大学との提携を模索している。
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