研究課題/領域番号 |
15H05144
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 知 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (20452287)
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研究分担者 |
星川 圭介 富山県立大学, 工学部, 准教授 (20414039)
矢倉 研二郎 阪南大学, 経済学部, 教授 (20454647)
本間 香貴 東北大学, 農学研究科, 教授 (60397560)
堀 美菜 高知大学, 教育研究部総合科学系黒潮圏科学部門, 講師 (60582476)
河野 泰之 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (80183804)
百村 帝彦 九州大学, 熱帯農学研究センター, 准教授 (80360783)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 農業生態 / コネクティビティ / 生業 / 生存 / 農村 / カンボジア / 東南アジア |
研究実績の概要 |
本研究は今年度、カンボジアの中央部にあるトンレサープ湖の南岸に位置するポーサット州において、その多様な農業生態環境下での人々の生活をコネクティビティと生業を軸として考察するための現地調査を実施した。現地調査は、カンボジアの王立農業大学および王立プノンペン大学開発学部の教員・学生を招聘しておこなう「持続的な生業に関するフィールドワークショップ」と、研究代表者・分担者が上記両大学の教員・学生を協力者として実施した個別調査からなっている。ワークショップと個別調査からなるこのような構成は、昨年度と同様であり、本研究の特色である。
今年度は、ポーサット州の農業生態環境のなかでも、特にトンレサープ湖の湖畔に近いエリアに注目し、調査を行った。まず、2016年9月のフィールドワークショップでは、同州のカンディエン郡、クラコー郡にある雨期には湖の増水の影響下で稲作や漁業を行う地域に焦点を絞り、2つの行政区の4つの村を選んで土地利用、世帯経済、コミュニティ漁業について情報収集と分析を行った。その後、代表者と分担者が中心となって、2017年2月に上記の4つの村を再訪し、各村から30世帯をサンプリングした質問票調査を実施した。さらに、2017年3月には、代表者と分担者が、ポーサット州内の山稜に近いクロヴァーニュ郡の畑作・稲作混合地域でも土地利用の変容に関する情報収集と、特に2つの村を選び質問票調査を実施した。同月には、別の分担者も、ポーサット州における稲作技術と生産性に関する現地調査を実施した。
昨年度は、ポーサット州のなかでも、農業水路から灌漑用水の供給をうけた稲作が盛んなエリアを中心に調査を行った。今年度、湖畔に近く漁業従事者が多いエリアと、山稜に近い畑作地帯を訪問し、情報収集を行ったことで、当初の計画通り、研究対象の農業生態の多様性を踏まえた上で人々の生存基盤を評価する準備を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、3年間の研究期間中に、対象とするポーサット州の多様な農業生態環境の全域をカバーする規模で生業と人々の生活のなかのコネクティビティに関する情報を収集し、分析することを目的としている。昨年度に続き、今年度も順調に現地調査を遂行することができ、当初の予定に従った形で情報の収集と分析を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、3年間の研究期間の最終年である。来年は、当初からの予定通り、ポーサット州の南部にあるカルダモン山脈の山地に調査地を移すことになる。調査の手法は、これまでと同様、現地の大学機関の教員と学生らとの協働にもとづく「持続的な生業に関するフィールドワークショップ」を通じた情報収集と、個別の調査とを組み合わせることを想定している。ワークショップでは、現地の研究者の能力向上も目的としている。研究計画が最終目標とする生業とコネクティビティからみたカンボジア農村の人々の生存基盤の将来像に関する考察とともに、ワークショップを3年続けることによって、現地の研究教育機関との互恵的な関係もますます発展させたい。
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