研究課題
今年度は、ポーサット州のヴィアルヴェーン郡の山地に2000年代以降に形成されたフロンティア地域の村々を対象として活動を行った。具体的には、カンボジア人の大学院生を招聘したフィールドワークショップと、4つのサンプル村落における質問票調査を代表者が中心に行った。また、一昨年度、昨年度に調査を行った低地の稲作村落および山稜の畑作地域でも、分担者が各自で現地調査を実施した。昨年度までに調査を行った低地部の農村では、稲作の商品化、国際労働市場にむけた出稼ぎの増加といった要因に駆動された急速な変化がみられた。地域の世帯は伝統的に、多就労の形態を特色とする生業活動を実施してきたが、新たな変化のなかでも生業活動の多様性の伝統を保持している様子が明らかになった。また、コミュニティのレベルでは、仏教活動の多様化により、医療費の高騰といった新たな脆弱性に対する草の根の対応が観察された。一方で、今年度調査を実施した山地部では、歴史の浅い村落が多く、さらに世界市場と直結した換金作物の栽培を生業の中心とするため、低地のような既存の生活・生業の多様性を生かしたレジリアンシーは目に見える形で観察できなかった。ただし、国境を越えてタイから果樹栽培の技術を導入するといった地域レベルのコネクティビティと生業の関係性が特徴的な形で確認できた。他方、研究成果のとりまとめにも着手し、2018年2月には、現地のカウンターパートである王立農業大学において、農業と農村開発の望ましい発展の経路を模索する国際ワークショップを開催した。3年間の活動を通して、生業とコネクティビティという着眼点は、当該地域を中心とした東南アジア農村の近年の変化を理解する上で非常に有用であることが確認できた。一方で、長期的な変容の内実を解明するには、より生態学的・歴史的な視点に立った調査が必要であることも確認した。この点は、今後の課題である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Remote Sensing Applications: Society and Environment
巻: 9 ページ: 42-51
10.1016/j.rsase.2017.11.004
Journal of Agroforestry and Environment
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