研究課題
日本とタイの関係は深く、長い交流の歴史の中でさまざま物が行き来したことが知られている。本科研メンバーは、これまでタイにおいて美術品を中心とした交易資料の調査を行い、併行して日本関係資料の発掘にも力を注いできた。タイに伝わる日本刀の調査は、その一例といえる。遅くとも15世紀前半には交易品としてタイに送られはじめた日本刀が、アユタヤーのナーライ王(在位1657 ~ 1688年)時代以降、王侯貴族、高級官僚の持物として重要な位置をしめ、タイ社会の中で権威の象徴として機能したことは従来知られてきたが、本科研では専門家による実物に即した詳細な調査を実施した。一方、日本に伝わったタイの文物については、陶磁器、漆器、響銅鋺、更紗など、日本文化、特に茶の湯の中で新たな意味をもって長く伝えられてきたものは数多い。その他にも、アユタヤーとの交易に関わった朱印船貿易家、さらに明治以降の仏教僧の交流を通して、仏像や仏画、貝葉写本なども日本に伝わった。本科研の特色はこうした資料を文化財として日タイ共同で調査し、美術史、歴史的評価を行ったことである。本科研の成果は、研究成果報告書『日タイ間の文化交流に関する資料集成と統合的研究』(141頁 平成30年3月31日)にまとめた。また、特別展「タイ~仏の国の輝き~」(九州国立博物館:平成29年4月11日~6月4日、東京国立博物館:平成29年7月4日~8月27日)の展示や関連シンポジウムにおいて、その成果を広く一般に公開した。その他にも、九州国立博物館および浦添市美術館で平成28年度に開催した『きらめきで飾る-螺鈿の美をあつめて-』にも本科研の成果の一部を紹介するなど、日タイ文化交流の進展に資することができた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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