研究課題/領域番号 |
15H05151
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
西 一夫 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (20422701)
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研究分担者 |
小林 比出代 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (10631187)
奥田 俊博 九州女子大学, 家政学部, 教授 (30343685)
白井 伊津子 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (40323224)
佐野 宏 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (50352224)
奥村 和美 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (80329903)
桑原 祐子 奈良学園大学, 情報学部, 教授 (90423243)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 敦煌文書 / 書儀 / 月儀 / 書簡表現 / 表現受容 / 漢文書簡 |
研究実績の概要 |
本年度は海外調査を1件、国内調査を1件実施した。台湾故宮博物院での文献調査である。董本の月儀帖の実見調査、「故宮本十二月朋友帖」の前年度未調査の実見調査である。閲覧調査の期間と時間とに制限があるため、本年度にも調査を実施した。日本の台東区書道博物館所蔵の書儀断片との関係を中心に調査すると共に、書写の特徴についても実見での調査を行った。調査は西、白井、小林並びに連携研究者の丸山が行った。 国内調査については、昨年度に引き続き台東区書道博物館での中村コレクションの書儀断片の実見調査を行った。実測調査によって、従来の報告書で明示されていない形状を把握することができた。調査は西、小林、丸山、白井が行った。 その他、8月には奈良女子大学古代学学術研究センターとの共催で「漢字文化の受容―形式と表現―」と題するシンポジウムと公開研究会を開催(共催として奈良万葉文化館)し、その成果を報告書として発行した。その他、表現受容と文献特質の解明については、、順次表現の検討を進めている。正倉院文書、木簡との検討については、データベースを用いながら悉皆的な調査を実施して語彙を網羅的に取り出すことができた。注釈については研究会を2回開催し、素案原稿の検討を行った。その後はメールによる原稿の授受によって推敲を重ねている。注釈原稿の初稿はおおむね当初計画通りである。成果発表については、上述のシンポジウムと公開講演会の開催のみならず、関係学会での口頭発表、論文・著書によって精力的に進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度実施の台湾調査の追加調査ができたことが成果としてあげられる。ただし、当初計画したロシア調査は、手続き・準備の関係などから29年度に変更せざるをえなかった。当初計画の調査進行をほぼ取り戻していると言える。国内調査においても、未調査の台東区書道博物館での中村コレクションの実見調査を継続できた。主要な断片調査を終えることができた。以上の点から海外学術調査としては、「おおむね順調に進展している」と評価できる。 また注釈作業は研究会を2回開催し、原稿の検討を行った。これによって当初予定の8割程度の注釈原稿を作成した。研究会の回数は多くないが、メール等を活用して相互検討を実施している。 成果発信については、8月に奈良女子大学古代学学術センターとの共催でシンポジウムと公開研究発表会を開催し、その成果を報告書として刊行した。その他にも学術論文・研究書の刊行を実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進については、以下のように計画している。 1.海外調査:29年度にロシアのオルデンブルク文書調査をフランスのPelliot文書調査と合わせて実施予定である。また台湾の故宮博物院での調査も29年5月に実施予定である。また年度末までにはイギリスStein文書の追加調査を実施予定である。 2.国内調査は連携研究者の丸山氏と台東区書道博物館での中村コレクションの断片調査を継続して実施予定である。主要な断片の調査を終えたので、細かな断片を取り扱う予定である。 3.成果発信は、29年度夏に28年度と同様に奈良女子大学古代学学術研究センターと「日本古代における詩文表現の展開に関する基礎的研究」(代表:白井)と本調査との共催で「漢字文化の受容―手紙を学ぶ、手紙で学ぶ―」を開催予定である。さらに本調査と近接する研究課題の調査2件との共催で京都大学において合同研究会を開催する予定である。これらの成果はいずれも報告書あるいは書籍としての刊行を予定している。注釈研究会についても初期原稿の見直しと新規原稿の検討を引き続き実施する。さらに学術論文等の発信も複数予定している。
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