研究課題/領域番号 |
15H05152
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
林 徹 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (20173015)
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研究分担者 |
平高 史也 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (60156677)
生越 直樹 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90152454)
嶋田 珠巳 明海大学, 外国語学部, 准教授 (80565383)
木村 護郎クリストフ 上智大学, 外国語学部, 教授 (90348839)
山東 功 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 教授 (10326241)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 多言語使用 / 言語意識 / 移民言語 / 移民コミュニティ / 学校 / 継承語教育 |
研究実績の概要 |
調査手法や収集すべき資料・データの検討に基づき、以下に示す地域ごとに本調査を開始した。
1.ドイツ(担当:林・平高)およびドイツ・ポーランド国境地域(担当:木村):ベルリンにおいて、トルコ保護者協会の協力を得て、保護者を対象としたアンケートを実施した。また、デュッセルドルフのインターナショナルスクールで、日本語母語話者の言語生活、言語意識について、アンケートとインタビュー調査を実施した。ドイツ・ポーランド国境地域においては、ドイツ側に移住したポーランド系の児童生徒に対し、学校での、母語・継承語としてのポーランド語教育のあり方についての調査を継続した。 2.ブラジル・パラグアイ(担当:山東):平成27年度に引き続き、ブラジル公教育制度認定下の私立学校における日本語教育内容に関し、協力者(森幸一、Yoko Nakaema)とともにアンケート調査を行い、その結果について分析を進め、研究会で発表した。さらに、パラグアイにおける日本語教育の実態について、協力者(上記2名)とともに日本語学校の調査を行い、パラグアイ日系移民社会における日本語教育の意味、ならびに言語接触の状況について分析を行った。 3.アイルランド(担当:嶋田):アイルランド南西部の複数の地域で、コミュニティにおけるアイリッシュスクールの役割、アイルランド語への意識などを調査した。また、それと比較するため、アイルランド語使用地域の小学校とその周辺コミュニティにおいて、アイルランド保持の取り組みと人々の言語意識についての調査を行った。 4.中国(担当:生越):2世中心の朝鮮族コミュニティである大連においてアンケート調査を行うとともに、その結果について分析を進め、研究会で発表した。さらに、移住1世によって形成されたコミュニティである延辺朝鮮族自治州の延吉においても調査を行い、コミュニティの形成過程と言語使用の関連性を探った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すべての調査地域において、順調に調査を実施することができた。 具体的には、まずドイツにおいては、これまでの児童・生徒を対象とした調査に加えて、保護者を対象としたアンケート調査を実施することができたことに加え、インタビュー調査も実施することができた。 ブラジル・パラグアイにおいては、2016年9月にブラジル・アルモニア学園、スザノ日伯学園両校を訪問し、アンケート調査への協力依頼、授業参観、関係者(主に日本語教師)へのインタビューを行い、また、2017年3月にはパラグアイ・イグアス日本語学校を訪問し、アンケート調査への協力依頼、授業参観、関係者(主に日本語教師)へのインタビューを行うことができた。 アイルランドにおいては、アイルランド語使用地域と非使用地域の両方で調査を実施することができた。 中国においても、2016年9月に大連の朝鮮族学校でアンケート調査を行ったあと、延辺朝鮮族自治州の延吉を訪問し、朝鮮族学校の授業参観、関係者へのインタビューを行うことができた。また、延吉での予備調査をもとに、アンケート調査票を作成し、2017年3月に延吉にある朝鮮族学校でアンケート調査を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
概ね調査は順調であり、当初の研究計画どおりに推進する予定である。今後は、収集した各地域のデータを比較、検討し、一般化を進めることが最大の課題である。そのために、平成29年度中に共同で、調査報告を兼ねた出版を計画している。すでにそのための議論を開始した。企画をまとめる中で、それぞれの地域の特徴や、すべての地域にわたる共通点などが明らかになることが期待される。単なる報告の羅列ではなく、各地域からの成果を統合する努力を続け、結果を出版のかたちで具体化したいと考えている。
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