研究課題/領域番号 |
15H05155
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
呉人 徳司 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (40302898)
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研究分担者 |
風間 伸次郎 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (50243374)
江畑 冬生 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (80709874)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | チュクチ語 / チュルク諸語 / トゥバ語 / サハ語 / ツングース諸語 / モンゴル諸語 / 北東ユーラシア / 語形成 |
研究実績の概要 |
本研究は,北東ユーラシア地域に分布するアルタイ諸言語と古アジア諸語の一つであるチュクチ語について,現地調査で得られた一次資料の分析を行ない,これらの言語の形態的手法と形態的プロセスを比較し,地域的類似性を明らかにすることが目的である。 この一年間三人のメンバーが,それぞれの対象言語の接辞法についてさらに研究を進めることができた。具体的には以下の通りである。 呉人徳司は,モンゴル語の諸方言の語形成について資料を収集し,方言の比較研究を行なった。その研究成果を海外の国際学会で発表した。また,モンゴル諸語に属するダグル語の派生と屈折接尾辞について、現地調査を行ない,その成果を国内で開催されたワークショップで発表した。チュクチ語については,10年前に収集した動物に関する民話10編を形態素分析し,一冊の本として刊行した。風間伸次郎は,アルタイ諸語の再帰人称接辞に関する対照研究を行なった。その研究成果としてトルコ語,モンゴル語,ツングース諸語の再帰人称接辞を比較した論文を日本語で執筆し,国内の雑誌で発表した。江畑冬生は,主に北東ユーラシアに分布するチュルク諸語のボイス接辞による派生動詞と受身・再帰・逆使役構文に関する解明を行なった。その研究成果として,サハ語とトゥバ語の受身と再帰接辞について考察した論文を刊行している。通時的変遷としては,チュルク諸語の処格と分格をめぐる用法の発展に関する解明を行なった。またトゥバ語の証拠性接辞について,ロシアの研究者と共同研究を行ない,その成果を国際学会で発表した。 以上のように,三人のメンバーが三年目の研究計画に沿って,語形成に関する研究をさらに進め,一定の成果をあげることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の代表者と二人の研究分担者が,それぞれの研究対象とする言語が話されているロシア,モンゴル,中国に行き,現地調査を実施し,語形成に関する研究をさらに進めることができた。このうち代表の呉人徳司は,中国とモンゴル国でモンゴル語の方言調査を実施したほか,中国の東北地方に行き、モンゴル諸語の一つであるダグル語の現地調査を行ない,多くの一次データを収集することができた。チュクチ語については、ロシアのモスクワで母語話者の協力の元、動物に関する民話資料の形態素分析を行ない、名詞抱合,接辞法に関する研究の充実化を図った。風間伸次郎は,主にロシアで現地調査を実施し,ツングース諸語の再帰接辞のデータを収集し,分析を行なった。江畑冬生は,シベリア地方で話されているチュルク諸語のサハ語,トゥバ語について現地調査を行ない,これらの言語のボイス接辞による派生動詞と受身・再帰・逆使役構文に関する研究を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,北東ユーラシア諸言語の語形成に関し,地域類型論的観点から相互に比較対照することを目的としている。この目的を達成するために,最後の一年間は対象言語のデータを収集し,精査し,類型論的比較研究の視点から共通の問題意識を持って解明することを目指す。研究代表者と二人の研究分担者がそれぞれの対象地域に行き,現地調査により一次データの収集・分析を行なう。そして,研究打ち合わせを数回行ない,それぞれが得た知見を持ち合い,議論を重ね,研究の成果を国内外の学会で発表し,また学術雑誌に論文として投稿し、公表する。
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備考 |
北東アジア諸言語に関するwebページである。民話テキスト、辞書、語彙集など多くのコンテンツが含まれる。
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