研究課題
多文化社会における地域やコミュニティに拠点をもつ小さなメディアの機能と可能性を探るため、Aコミュニティ活動とメディア戦略に関する米英国での「現地調査」を行い、そこで得た情報を、B米英国での「メディア実践」に活かして、ABの成果を、C日米国の「大学教育」における表現・協働・発信力を培うアクティブ・ラーニングの方法として応用し、研究を進めた。A現地調査については、平成30年9月より米国イリノイ大学の客員研究員として滞在し、移民問題に関する住民活動や、地域のメディアセンターでの活動の参与観察を続けている。平成31年1月にはロンドンにおいて、コミュニティや対抗文化の活動の関係者を取材し、また現代のZine(自主制作雑誌)についての調査を図書館、書店などで行なった。Bメディア実践では、米国のコミュニティラジオ局での毎週1時間の日本語番組制作を継続し、Aの現地調査の内容も番組やサイトで音声と文章、映像を使いレポートした。Cの大学教育については、甲南大学文学部社会学科の授業において、ABを通して得た調査地での信頼関係と研究・実践の成果を取り入れ、メディア関係の授業において、教室と米国のWRFUラジオ局をつなぎ、受講生が日本から番組を制作し、これを米国に生放送し世界へ配信した。また、社会調査に関する授業では、受講生が調査の成果を冊子にして展示する「ZINE大会」を実施した。こうした授業作りの方法については、Zine-MakingやZine Festを授業に取り入れているイリノイ大学の複数の授業にゲストスピーカーとして参加し、意見交換を行った。またロンドンのアート系の書店で、上述した授業のZine 作品の展示会を開催した。小さなメディアがグローバルに人をつなぎ多文化が接触するメディアスペースを作りうることを現地調査、メディア実践、教育において確認し、その成果と方法論を論文にまとめた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
(1)は、米国、イリノイ州、Urbana市にあるコミュニティラジオ局の日本語番組Harukana Showの番組サイト。平成30年度の放送・配信は52回、Podcast No.368(April6, 2018)-No.419(March29, 2018)。また、同サイトBlogに、米英国におけるGrassroots Mediaに関する調査について、随時にレポートしている(12回)。
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甲南大学紀要文学編
巻: 169 ページ: 63-77
http://harukanashow.org/
http://ch.konan-u.ac.jp/news/860