研究課題/領域番号 |
15H05180
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松原 隆一郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90181750)
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研究分担者 |
中西 徹 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30227839)
矢坂 雅充 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (90191098)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 有機農業 / 市場戦略 / デンマーク / イタリア / フィリピン / メキシコ |
研究実績の概要 |
この間の研究によって,対象国である,欧州(イタリア),東南アジア(フィリピン),ラテンアメリカ(メキシコ),日本の有機農業の発展を考える上で,北欧諸国の有機農業における関連業者の市場戦略と政府の対応が,重要な意義を有することが判明した。そこで,最終とりまとめを行う本年では,昨年来,現地の事情から調査に遅れが生じていたフィリピンにおけるグループ調査の困難性にも鑑み,デンマークにおいて,農家,酪農家,バイオマス関連産業,流通業者および政府の連関に関する集中的な文献調査および現地調査を計画・実施した。 この結果,コミュニティ内の社会関係を土台として,デンマークにおいて形成された,農家・酪農家間の堆肥およびエネルギー循環の仕組みとその発展経路が,グローバル化に対応する基本戦略になり得る事例であることがあきらかとなった。それは,小国ゆえのきめ細やかな行政対応を前提とした地域コミュニティの自律的な制度である。市場メカニズムによる資源配分システムとは一線を画した,個々のコミュニティの社会関係を軸とした制度設計がなされており,小規模ながら同様の機能を重視してきた研究対象国の有機農家や有機農業関連業者が,ともすると独立した小規模集落による生活単位に収束しがちであったことと対照的である。その高いパーフォーマンスは,高い生産性,強い国際競争力,豊かな人間関係にもとづく高い幸福度にも貢献していると解釈し得るものであり,対象国経済全体にも大きな示唆を与えるものであることがあきらかになった。その直接の成果は,すでに,松原(2017)の社会経済論の包括的論考や,地域通貨と貧困について有機農業のもつ意義に言及した中西(Nakanishi:2018)などの今年度の成果にも反映されている。今後,いっそうの精緻化と研究の発展をはかりたいと考えている。
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現在までの達成度 (段落) |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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