研究課題/領域番号 |
15H05181
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
金 広文 京都大学, 経営学研究科, 准教授 (80335108)
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研究分担者 |
森杉 雅史 名城大学, 都市情報学部, 教授 (00314039)
大西 正光 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10402968)
文 世一 京都大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (40192736)
高野 久紀 京都大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (40450548)
小林 潔司 京都大学, 経営学研究科, 教授 (50115846)
松島 格也 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60303848)
古市 正彦 京都大学, 経営学研究科, 教授 (60572758)
大西 暁生 東京都市大学, 環境学部, 准教授 (90435537)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | クロスボーダー / 経済統計 / 交通・地域経済 / 広域地域協力 / 政策評価 / 産業連関表 / 環境経済分析 |
研究実績の概要 |
ASEANでは経済のグローバル化が地域間の相互依存を進め経済発展をもたらす一方で,各地域の分業構造やインフラ整備の相違が地域格差や資源・環境汚染の越境問題が拡大しており,格差解消や域内全体の発展に向けた共通政策の立案や合意形成の政策対話を進める必要がある.本研究は産業構造やガバナンスが多様なアジア地域の中で,主にフィリピンとインドシナ諸国を対象として,国家/地方/都市の異なる地域階層において,越境交通・経済・環境の数量解析を行う.具体的な研究目的は以下の通り. A.産業構造が多様なアジアの政策評価に必要な統計勘定の整備に関する現状と課題整理 B.国家間・地域間での越境経済・交通・資源・環境の相互依存性の解析 C.アジア地域の経済統合に向けた広域越境政策の実現可能性の評価・分析 今年度は、A~Cの基礎情報の整理や分析準備を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A.研究実施に必要な統計勘定の整備に関する現状と課題を明らかにした。 ①アジア諸国の経済統計を用いたSNA‐IOT構造仮説の整合性分析のほかにインドシナ地域の国家間・地域間の産業連関表の作成・分析事例のサーベイを行った。②メコン流域の水質悪化に伴う統計的生命価値の計測をするために、VSL(統計的生命価値手法)あるいはそれに類するOP(オプション価格)・OV(オプション価値)の手法論的サーベイを行い、主に途上国の経済発展レベルや人口構成と、居住民の死亡リスク削減への支払意志額についての経済学的解釈の吟味を行った。③ベトナムにおける「事業所統計調査」によるパネルデータを用いた事業所動態と産業構造の要因分析をする為の準備データ収集作業を進めた。 B.国家間・地域間での越境経済・交通・資源・環境の相互依存性の解析に必要な準備作業を開始し、アジアにおけ国際輸送のメカニズムとインフラストラクチャ整備政策に関する理論・実務的課題を整理した。 また、CGEモデルをフィリピン及びCLMVT諸国の国・地域レベルへ適用するためのモデルフレーム(一地域CGE/多地域間CGE)を検討した. C.アジア地域の経済統合に向けた広域越境政策の実現可能性の評価・分析に必要な予備検討を行った。越境政策におけるガバナンスの現状と課題を分析した。 上記は概ね研究計画のスケジュールに従っている。
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今後の研究の推進方策 |
A.必要な統計整備の現状と課題整理:①アジア諸国と日本のSNA-IO表の国際標準化・調和に向けた技術的課題の分析、②生産活動のミクロ経済主体である事業所の動態現象を通して産業構造の変化を把握し事業所の参入・退出/事業所生産活動の多角化構造の要因を分析、③データ制約下での地域IO表推計に関する課題:フィリピン・ベトナムの地域内・地域間IO表作成におけるSLQ法の適用可能性分析と国家・地域間IO表の推計 B.国家間・地域間での越境経済・交通・資源・環境の相互依存性の解析:①国際河川の水質悪化に伴う流域国・地域間の水質被害予測、②①で実施した結果を用いてメコン下流域での水質被害を予測、③IO表を用いた越境経済に関する国家・地域間の相互依存分析 C.アジア地域の経済統合に向けた広域越境政策の実現可能性の評価・分析:作成・整備した統計勘定を用いて,インドシナ地域の越境インフラ整備に伴う経済効果の計測・分析の準備.
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