研究課題/領域番号 |
15H05182
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
TRAN VAN.THO 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (70227669)
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研究分担者 |
石田 正美 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, その他 (10450488)
DO MANH・HONG 桜美林大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40406872)
山田 満 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (50279303)
松本 邦愛 東邦大学, 医学部, 講師 (50288023)
白石 昌也 早稲田大学, アジア太平洋研究科, 教授 (70127330)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | メコン経済圏 / アジアダイナミズム / 地域協力 / 経営戦略 / 技術移転 / 交通ネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究では、メコン河流域経済圏(GMS)における後発国と先発国の格差是正の課題と方策をGMS及び東アジアの経済ダイナミズムを踏まえて、学際的・包括的に分析することを目的とする。先行研究では道路・港湾などの物流や各国の開発状況の分析はなされているが、経済特区などの生産拠点の分析、地域の生産の担い手となる外国企業・地場企業の戦略と発展の分析、人的資本の形成と労働移動の分析を踏まえた複合的研究はなされていないからである。 本研究においては、①東アジア・ダイナミズムの視点からのメコン地域開発課題の探索、およびキャッチアップ条件の分析枠組みの構築に加えて、②経済区・工業団地、③交通インフラ整備、④企業戦略・発展、⑤人的資本形成・労働移動の各ファクターに焦点を当てて、経済的・政治的側面から上記課題を分析する。 平成27年度は、東アジア・ダイナミズムの分析枠組みを再構築した上で東アジア・ダイナミズムの視点から見たGMS後発国の発展課題の整理を重点的に行った。各分担者・協力者はGMS諸国(タイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア、中国南部各省)に関する文献調査・データ整理を行うとともに、早稲田大学で会議を3回開催し、各国事情に精通している研究者・実業家から状況を聴取、基礎的理解を深め、問題点の洗い出しを行った。 また、研究メンバー7名がベトナム、タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマーで現地調査を行い、経済特区・工業団地での外資企業、各国内企業の活動、工業化の進展について視察、資料収集等を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の計画では、GMS圏(ベトナム、ミャンマー、カンボジア、タイ、ラオス)に関する基礎的な文献整理及びデータ収集を行い、それに基づく詳細な調査項目の検討および現地調査を行う予定であった。 計画に従い、各分担者・協力者が各自テーマに沿った形でGMS諸国に関する文献調査・データ整理を行い基礎的理解を深めるとともに、早稲田大学ベトナム総合研究所の研究会で、各国事情に精通している研究者・実業家から状況を聴取、かつ研究課題に対するアドバイス等を通じて、問題点の洗い出しを行った。さらに、年度後半に、ベトナム、カンボジア、ミャンマーにおける経済特区・工業団地、及びメコン圏の交通インフラの整備状況に関する実地調査を計3回実施し、各自が中間報告会(2016年10月)に向けて準備を進めた。 以上の通り、おおむね予定通りに研究計画を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に重点的に行った基礎的文献・データ調査を踏まえて、平成28年度はメコン経済圏における工業化、インフラ整備、人的資本形成政策、及び進出企業の戦略に焦点を当てた調査・研究を進める。具体的には、現在の東アジアのヒト、カネ、モノの交流がGMS後発国にどのような影響を与えているのか分析を行う。そして、その社会・経済的発展のために、単なる物的インフラの整備にとどまらず、経済特区などの生産拠点の分析・評価、生産拠点と都市、港湾・空港を結ぶ交通網の分析・評価、地域の生産の担い手となる外国企業・地場企業の発展の分析・評価、及び人的資本の形成と労働移動の分析・評価を行う。さらに、平和学・地政学的見地・政治環境の分析も踏まえて行う。 これら調査結果をまとめて、「メコン地域開発とアジア・ダイナミズム」をテーマとして、中間報告会を兼ねたシンポジウムを2016年11月にベトナム・ハノイにて開催する。研究成果を国際社会へ還元するとともに、GMS諸国の研究者との討論を通じて研究の深化を図る。
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