本研究は、近代日本における植民地主義の展開過程を比較史的な視野から再考することを目的として、19世紀以降のプロテスタント教会による台湾先住民族を対象とした教化活動に焦点を据えて、宣教師文書、外交文書、新聞記事等の英文資料の系統的な調査・分析を行った。これを通じて、もっぱら日本文資料に依拠した従来の分析枠組みを再考し、植民地主義の競合・連鎖を捉えるために不可欠な基礎資料の集積と共有化を進めることができた。さらに、個人所蔵の地域資料・家族資料の残存状況についても確かめることができた。これらを組み合わせることにより、植民地経験をより多面的に再構成することが可能となる。
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