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2015 年度 実績報告書

平等と卓越性のバランス政策を軸とする自律的公設学校の国際比較

研究課題

研究課題/領域番号 15H05201
研究機関京都文教大学

研究代表者

中島 千恵  京都文教大学, 臨床心理学部, 教授 (20309107)

研究分担者 杉本 均  京都大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (50211983)
服部 美奈  名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30298442)
澤野 由紀子  聖心女子大学, 文学部, 教授 (40280515)
渡邊 あや  津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (60449105)
吉原 美那子  高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (00422147)
石川 裕之  畿央大学, 教育学部, 准教授 (30512016)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード平等 / 卓越性 / 公共性 / 自律的公設学校 / グローバル化
研究実績の概要

本研究の目的は、国家の戦略として自律的公設学校をどのように政策的に活用しているのか、また、そのことによって公教育の構造や社会にどのような変化とリスクをもたらしているのかについて、平等と卓越性を軸として国際比較することを目的とする。本年度は予定通りイギリス(10月)、シンガポール(2016年3月)の調査を実施した。また、文献研究によって情報を得るとともに、来年度の調査準備を進めた。
イギリスでは、自律的公設学校の推進(アカデミー化)に携わる教育省関係者ならびに困難地域の学校を自律的な学校運営によって改善に導いた関係者から話を聞いた。イギリスは卓越性を追求しながら、すべての公立学校をアカデミー化しようとしており、公教育の構造は大きく変わりつつある。学校の統一化へと向かうのか、むしろより多様化と複雑化に向かうのか、今後の動向を待たねばならない。
シンガポールにおける自律的公設学校の在り方は、イギリスのアカデミーやアメリカのチャータースクールほど成果主義的ではなく、運営方法、政策的意図でも異なった。
今年度の研究調査では、公設学校運営のグローバル化の諸相を明らかにできた。スウェーデンの企業は、イギリスやアメリカの公設学校にメソッドを打っており、公設学校運営のグローバル化が予想以上に進んでいる。また、韓国では、2度にわたる政府による統制と制裁にもかかわらず無認可オールタナティブ・スクールが急増している。しかも、無認可であるにもかかわらず、海外の大学とつながり、もはや国内の公教育の枠を無視するかのようである。韓国担当者は、韓国における無認可オールタナティブ・スクールの展開は、「そもそも教育ニーズを公平で平等に扱うとはどういうことか」と言う重要な問いを提起していると考える。また、グローバル化の中で、国際的に通用する学力獲得が追求され、人々の平等観も変化しているのかもしれない。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

(1)メンバーによる多様な情報提供とそれらの考察から、予想していた以上に自律的公設学校がグローバルな展開をしていることがわかり、当初考えていた以上に研究に広がりと深さが出てきた。
(2)フィンランド・インスティテュート(在フィンランド大使館内)とアカデミックなワークショップを開催し、フィンランド調査担当者だけでなく、スウェーデン、イギリス、アメリカを担当するメンバーも交流の機会を得、視野を広げることができた。

今後の研究の推進方策

今年度は、次の対策をしている。
(1)当初の計画を推進するには、今年度は予算が足りない。対策として、年2回の計画であった代表者の本務校がある京都で全体集会を今年度は年1回にする。しかし、必要に応じてインターネット会議が開催できないか、可能性をさぐる。
(2)メンバーが役職などで多忙になる可能性がある。予定通り実施できそうにないメンバーが出た場合、本人の調査を来年度にまわし、来年度調査予定のメンバーによる調査を今年度に実施するなど、柔軟な対応を考える。

  • 研究成果

    (21件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (7件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 「20世紀初頭のインドネシア・イスラーム社会における近代女子教育の形成-「正典」をめぐる解釈とコミュニティのゆらぎ・再編-」2016

    • 著者名/発表者名
      服部美奈
    • 雑誌名

      『歴史学研究』

      巻: No.940 ページ: 13-23

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「イギリス歴史科ナショナル・カリキュラム成立をめぐる政策論争」、2016

    • 著者名/発表者名
      杉本均
    • 雑誌名

      『アジア教育研究報告』

      巻: 第14号 ページ: 83-100

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] フィンランドにおけるインクルーシブ教育システム構築の現状2016

    • 著者名/発表者名
      渡邊 あや
    • 雑誌名

      インクルーシブ教育の構築に向けた学校施設に関する基礎的調査研究(報告書)

      巻: 報告書 ページ: 40-49

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 18歳までの放課後を考える-フィンランドにおける2つのプレイ・パークの見聞からー2016

    • 著者名/発表者名
      中島千惠
    • 雑誌名

      京都文教大学臨床心理学部研究報告

      巻: 第8集 ページ: 47-58

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 韓国におけるオルタナティブ教育の展開と近年の動向ー公教育との関係性に注目してー2015

    • 著者名/発表者名
      石川弘之
    • 雑誌名

      畿央大学紀要

      巻: 第12巻2号 ページ: 37-51

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 諸外国における地域の再生と生涯学習ー欧州から世界に広がる学びのまちづくりー2015

    • 著者名/発表者名
      澤野由紀子
    • 雑誌名

      日本生涯教育学会年報

      巻: 36 ページ: 89-107

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] フィンランドにおけるネウボラ、プレイ・パーク、小学校の連携2015

    • 著者名/発表者名
      中島 千惠
    • 雑誌名

      京都文教大学心理社会的支援研究

      巻: 第6集 ページ: 45-57

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ”Education in Small Islands and Coastal Areas: Focus on Mie and Aichi Prefecture (II)-Secondary and Tertiary Education-“2015

    • 著者名/発表者名
      服部美奈
    • 学会等名
      International Seminar on Maritime Culture
    • 発表場所
      Diponegoro University
    • 年月日
      2015-12-18 – 2015-12-18
    • 国際学会
  • [学会発表] 自律的公設学校の英米比較2015

    • 著者名/発表者名
      中島千恵
    • 学会等名
      日本教育行政学会 第50回大会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2015-10-10 – 2015-10-10
  • [学会発表] フィンランドの教育課程編成における地方の役割2015

    • 著者名/発表者名
      渡邊 あや
    • 学会等名
      日本比較教育学会第51回大会
    • 発表場所
      宇都宮大学
    • 年月日
      2015-06-14 – 2015-06-14
  • [学会発表] 「トルコにおける宗教指導者養成-政府による取り組みと「ヒズメット(奉仕)」運動の展開」(西野節男と共同発表)2015

    • 著者名/発表者名
      服部美奈
    • 学会等名
      日本比較教育学会第51回大会
    • 発表場所
      宇都宮
    • 年月日
      2015-06-13 – 2015-06-13
  • [学会発表] Emerging Conflict of Holistic Approach and Subject Teaching Approach2015

    • 著者名/発表者名
      中島千恵
    • 学会等名
      Asia-Pacific Network for Hoistic Education
    • 発表場所
      同志社大学
    • 年月日
      2015-06-08 – 2015-06-08
    • 国際学会
  • [学会発表] スウェーデンにおける生涯学習と市民教育の展開2015

    • 著者名/発表者名
      澤野由紀子
    • 学会等名
      スウェーデン社会問題研究所(JISS)第173回スウェーデン研究講座
    • 発表場所
      日本スウェーデン大使館
    • 年月日
      2015-04-27 – 2015-04-27
    • 招待講演
  • [図書] 比較教育社会学へのイマージュ2016

    • 著者名/発表者名
      杉本均(原清治・山内乾史・杉本均編)
    • 総ページ数
      未定(印刷中)
    • 出版者
      学文社
  • [図書] 子どもの育ちを支える:子どもと言葉(中島担当:第2章⑤)2016

    • 著者名/発表者名
      中島千惠(浅見均編著)
    • 総ページ数
      183(34-35)
    • 出版者
      大学図書出版
  • [図書] 未来に生きる教育学ー変動期の教育の構築2015

    • 著者名/発表者名
      中島千惠(田中享胤、越後哲治、中島千恵編著)
    • 総ページ数
      203(1-14, 38-43, 48-53, 136-149, 155-164, 180-186)
    • 出版者
      あいり出版
  • [図書] 『ムスリマを育てるーインドネシアの女子教育』(イスラームを知る20)2015

    • 著者名/発表者名
      服部美奈(単著)
    • 総ページ数
      106
    • 出版者
      山川出版社
  • [図書] Crucial Issues and Reform in Muslim Higher Education2015

    • 著者名/発表者名
      服部美奈(Rosnani Hashim and Mina Hattori (Eds.)
    • 総ページ数
      246(xiii-xii, 162-177)
    • 出版者
      IIUM Press
  • [図書] 教育と学びの原理ー変動する社会と向き合うために(担当第Ⅲ部、第15章)2015

    • 著者名/発表者名
      服部美奈 (早川操、伊藤彰浩編)
    • 総ページ数
      256(208-220)
    • 出版者
      名古屋大学出版会
  • [図書] 未来に生きる教育学ー変動期の教育の構築(服部担当:11章4)2015

    • 著者名/発表者名
      服部美奈(田中享胤、越後哲治、中島千恵編著)
    • 総ページ数
      203(164-170)
    • 出版者
      あいり出版
  • [備考] 京都文教大学 平成27年度 科学研究費による研究状況(研究代表者)

    • URL

      http://www.kbu.ac.jp/kbu/reseach_ex/h27/

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公開日: 2017-01-06  

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