研究課題/領域番号 |
15H05204
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
眞城 知己 千葉大学, 教育学部, 教授 (00243345)
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研究分担者 |
石田 祥代 東京成徳大学, 応用心理学部, 教授 (30337852)
是永 かな子 高知大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (90380302)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 地方分権 / インクルーシヴ教育 / デンマーク |
研究実績の概要 |
本研究は、デンマークにおける2007年の大規模自治体再編後の急激な地方分権制度の進展に伴うインクルーシヴ教育制度の混乱とその収束に向けた取り組みの実態をフィールド調査を通じて明らかにすることを目的としたものである。海外学術調査の趣旨に鑑みて、現時点でしか収集することが難しい情報をフィールド調査を通じて集積することに特徴がある。平成27年度は、研究所年度として、デンマーク政府のパイロットスタディに参加した自治体を中心にフィールド調査を実施した。合計で9市を対象に聞き取り調査を実施し、また資料を収集した。 また、研究成果の報告と我が国における新たな研究関心の喚起を目的としてデンマークから専門家を招聘した国際講演会を開催した。 デンマーク政府が推進しようとしている通常学校において学習機会に参加する生徒の割合を向上させる方針を、各自治体がどのように推進しようとしているかについて、1)少数の教師を長期研修に派遣して、特にインクルーシヴ教育に関する知識と具体的方法を学習させ、その教員たちに市内全体の教員研修の中心的役割を課す方法をとった自治体、2)地域全体の生活水準が安定している自治体では、全体の評価基準を緩やかに設定することで、多様な能力差のある生徒の学習活動への参加の範囲を拡大しようとした自治体、3)学校長のリーダーシップを特に重視して、管理職の意識向上による学校マネジメントを推進の原動力にしようとした自治体、4)保護者の教育水準の全体的な高さを背景に、学習能力の高い生徒向けの学習機会を保障するとともに、特に支援の必要な生徒への対応への理解を求めた自治体など、予想した以上に多様な実態があることが浮かび上がってきた。 次年度以降には、さらに多くの自治体を対象にしたフィールド調査を実施し、継続的な情報収集を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は、対象にした自治体がパイロットスタディの最終年度にあたったことから、十分な情報提供をすることが難しい自治体が複数あり、このため当初調査を予定していた自治体の中に一部調査ができなかったものがあるため。
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今後の研究の推進方策 |
研究方法には問題がなく、協力の許可がなかなか下りない自治体があり、やや収集に遅れが生じているものの、必要な情報収集は着実に進められていることから、平成28年度も27年度と同様のフィールド調査を継続して行う。
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